リチャード・ボイル (初代バーリントン伯爵)

リチャード・ボイル：アイルランドを舞台に活躍した王党派貴族

リチャード・ボイル（1612年10月20日-1698年1月15日）は、アングロ・アイリッシュの貴族として、アイルランドの歴史に大きな足跡を残した人物です。初代コーク伯爵リチャード・ボイルとキャサリン・フェントンを両親に持ち、著名な化学者ロバート・ボイルを弟としています。裕福な家庭に生まれ、1624年にはアイルランド総督からナイトの称号を授与されるなど、恵まれた環境で育ちました。

清教徒革命と王党派としての活動

1639年、スコットランドとの戦争に際し、チャールズ1世のために馬の供給など、多大な貢献を果たしました。1640年には長期議会でアップルビー選挙区の議員となり枢密院議員にも就任しますが、イングランド内戦が勃発すると王党派として活動。内戦では、リスカロールの戦いで活躍するなど、王党派の重要な軍事指導者として南アイルランドのプロテスタント勢力の維持に貢献しました。

イングランドにおける王党派の敗北後も、国外に亡命するなどしながらも活動は続き、1651年には政府の要請でアイルランドへ戻っています。こうした王党派としての活動は、彼のその後の人生にも大きな影響を与えることになります。

爵位と要職

1642年には弟の死によりキナルミーキーのボイル子爵位を継承、翌年には父の死により第2代コーク伯爵位を継承しました。さらに、1644年にはチャールズ1世によりクリフォード・オブ・レーンズボロー男爵に叙爵され、貴族としての地位を着実に築き上げていきます。

王政復古後、1660年にはヨークシャー州とウォーターフォード県の主席治安判事、アイルランドとの和解を検討する協議会委員に任命。同年11月には枢密顧問官とアイルランド大蔵卿に就任し、1661年にはアイルランド貴族院において全ての貴族の上に立つ地位にまで上り詰めました。

さらに、1664年にはチャールズ2世によりバーリントン伯爵位を叙爵され、1666年にはヨークシャー統監に任命されるなど、アイルランドにおける政治・社会の中枢で重要な役割を果たしました。

ジェームズ2世によるカトリック教会尊重の動きには反対し、議会招集を訴えるなど、その政治的姿勢は一貫していました。ウィリアム3世の即位後には、ジェームズ2世による没収処分を受けた自身の不動産を取り戻すなど、その影響力は最後まで衰えることはありませんでした。

家族と晩年

1635年には、第5代カンバーランド伯爵の娘エリザベスと結婚。6人の子供をもうけました。その中には、後に第3代ダンガーヴァン子爵となるチャールズ・ボイルも含まれています。

1698年1月15日に亡くなり、ヨークシャーのロンデスボローに埋葬されました。バーリントン伯爵位は孫のチャールズ・ボイルが継承しました。

まとめ

リチャード・ボイルは、清教徒革命における王党派としての活動、アイルランド大蔵卿としての政治的貢献、そして数々の爵位と要職を歴任した、まさに波乱に満ちた人生を送りました。アイルランドの歴史において重要な役割を果たした人物として、その生涯は研究に値します。彼の活動は、アイルランドにおける政治、宗教、社会の変遷を理解する上で重要な手がかりを与えてくれます。また、彼の家族関係や爵位相続は、アイルランド貴族社会の構造を知る上でも貴重な情報源となります。彼の功績と生涯は、現代においても歴史的意義を持つと言えるでしょう。

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