リッカルド・シャイー

リッカルド・シャイー：イタリアを代表する世界的指揮者

リッカルド・シャイー（Riccardo Chailly）は、1953年2月20日、イタリアのミラノに生まれました。彼は、現代音楽の作曲家・音楽学者であるルチアーノ・シャイーを父に持ち、音楽一家に育ちました。幼少期から音楽に親しみ、ローマの音楽院を卒業後、父親の勤務するペルージャやミラノの音楽院で学び、シエーナのキジアーナ音楽院ではフランコ・フェラーラに師事しました。

若き才能の開花と国際的な活躍

14歳で指揮者デビューを果たし、1972年にはミラノ・スカラ座管弦楽団の副指揮者に就任。同年、マスネのオペラ『ウェルテル』を指揮し、オペラ指揮者としてのキャリアをスタートさせました。1974年にはシカゴ・リリック・オペラでアメリカデビュー、1977年にはサンフランシスコ歌劇場で『トゥーランドット』を指揮し、大成功を収めました。1978年にはミラノ・スカラ座でヴェルディの『群盗』を指揮し、国際的な注目を集めるようになりました。

主要オーケストラとの共演

シャイーは、ベルリン放送交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団など、世界有数のオーケストラのポストを歴任してきました。特に、1988年から2004年まで務めたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者時代には、マーラー、ブルックナー、ブラームスの交響曲全集、ヴァレーズ全集などの録音を行い、オーケストラの評価を高めました。2005年からはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター、ライプツィヒ歌劇場の音楽総監督に就任。2015年からは、ダニエル・バレンボイムの後任として、ミラノ・スカラ座の音楽監督を務めています。

幅広いレパートリーと録音

シャイーのレパートリーは、古典派からロマン派、そして20世紀の現代音楽まで、非常に幅広いことが特徴です。彼は、ロッシーニ、ワーグナー、ヴェルディなどのオペラ作品や管弦楽曲、メシアン、ベリオなどの現代音楽作品を積極的に演奏・録音しています。デッカ・レーベルを中心に数多くの録音を残しており、J.S.バッハの宗教音楽作品やベートーヴェンの交響曲全集など、近年も意欲的な録音活動を続けています。

日本との関わり

1984年の初来日以降、シャイーは度々日本を訪れており、日本の聴衆にも親しまれています。NHK音楽祭への出演など、日本の音楽文化にも貢献しています。

リッカルド・シャイーは、その卓越した音楽性と、常に新しい音楽への探求心を持ち続ける、現代を代表する指揮者の一人です。彼の今後の活躍から目が離せません。

参考資料

* ヘルベルト・ブロムシュテット 著、力武京子 訳『ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命』アルテスパブリッシング、2018年

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