リッピング

リッピングとは

リッピングとは、DVDビデオソフトや音楽CDなどのデジタルデータをパソコンに取り込むことを指すパソコン用語です。この行為は、メディアに記録されたデータを、パソコンで扱えるファイル形式に変換するプロセスを含みます。

概要

リッピングは、DVDや音楽CDなどのデジタルデータを、そのままの形またはイメージファイルとしてパソコンに取り込むか、パソコンで扱いやすいデータの形に変換してファイル化する作業です。この変換には専用のソフトウェアが使用され、これらのツールは「リッパー」と呼ばれます。リッピングは、英語の「Rip」（切り取る、奪う）に由来します。

リッピングによって作成されたファイルを使用すると、元のメディアがなくても記録された内容を再生できるようになります。これは実質的に複製を作成する行為にあたり、バックアップとしての利用や、より幅広い利用方法を可能にします。しかし、この複製行為は著作権上の問題も引き起こす可能性があります。

近年、家庭用パソコンの性能向上や大容量記憶装置の普及、高効率なデータ圧縮技術の発展により、かさばるメディアからデータをパソコンに取り込み、一元管理する需要が増加しました。

利用形態

リッピングは、音楽や映像などの情報をファイル形式で扱いやすくする準備段階です。ファイル化によって、以下のような付加価値が生まれます。

連続再生: 音楽CDは通常74分程度しか再生できませんが、MP3などのファイル形式で保存すれば、連続再生ソフトウェアを用いて長時間再生が可能です。
携帯性: デジタルオーディオプレーヤーでは、小型で携帯性に優れ、長時間再生が可能なため、音楽をより手軽に楽しめます。
共有: 法的な問題を別にすれば、ファイルは他のメディアに書き込んだり、インターネットを通じて共有したりできます。

著作権上の問題

リッピングは、本来は単なるデータ読み込みを意味しますが、著作権法上、複製行為とみなされる場合があります。音楽や映像の購入者やレンタル利用者の私的複製は一定範囲で容認されていますが、デジタルデータの複製はオリジナルと全く同じ品質で可能であるため、著作権保護団体などから問題視されています。

権利団体はリッピングを困難にするための技術（コピーコントロールCDなど）を導入していますが、技術的な回避も進んでいます。コピーガード技術の回避は問題視されており、回避方法を公開した技術論文が裁判沙汰になるケースもあります。一方、コピーコントロール技術が消費者の権利を侵害しているとして、消費者団体が訴訟を起こし、勝訴した例もあります。

リッピングの原則違法化

1999年の著作権法改正により、「技術的保護手段」を回避して複製を可能にする行為が著作権侵害とみなされるようになりました。しかし、当初はDVDの暗号化技術（CSS）は「技術的保護手段」とはみなされていませんでした。

2012年の法改正で、「技術的保護手段」の対象に暗号化技術が追加され、DVDのCSSやBlu-rayのAACSなどの暗号化技術を回避する行為は違法となりました。これにより、個人利用目的であっても、CSSなどを回避してDVDをリッピングする行為は違法となり、回避ソフトの譲渡なども禁止されています。2015年には、DVDリッピングソフトウェアのダウンロードリンクを公開した業者が著作権法違反の幇助で検挙されました。

CDのSCMS回避については議論がありますが、SCMS対応機器やソフトウェアの複製抑止を回避する行為は違法とされています。しかし、非対応機器・ソフトウェアを使用した場合は、違法とする見解は少ないです。

まとめ

リッピングは、デジタルデータをパソコンで扱いやすくするための便利な技術ですが、著作権法との関係で注意が必要です。特に技術的保護手段を回避しての複製は違法となるため、適切な利用を心がける必要があります。

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