リップルウッド・ホールディングス

リップルウッド・ホールディングス：再生ファンドとしての功績と論争

リップルウッド・ホールディングスLLCは、1995年に設立されたアメリカ合衆国ニューヨークを拠点とする投資ファンド運営会社です。同社は、経営不振に陥った企業を買収し、再生、そして最終的に売却することで利益を上げるバイアウトファンドとして知られています。最高経営責任者（CEO）はティモシー・コリンズ氏が務めています。

2005年3月には、日本向けファンドを独立した持ち株会社としてユーロネクスト・ブリュッセルに上場させ、「RHJインターナショナル」と社名を変更しました。日本市場からの撤退は2013年に行われましたが、それ以外の地域では現在も投資活動を継続しています。

投資対象企業と戦略

リップルウッド・ホールディングス、そしてその後継のRHJインターナショナルは、多くの日本企業に投資を行いました。代表的な事例としては、新生銀行、日本コロムビア、ディーアンドエムホールディングス、フェニックスリゾート（シーガイア）、日本テレコム、旭テック、シャクリー・グローバル・グループ、ナイルス、ユーシン、代々木ライブアニメイション、シグマクシスなどが挙げられます。

同社の投資アプローチは「インダストリアル・パートナーシップ・アプローチ」と呼ばれ、単なる企業買収ではなく、産業全体の再編シナリオに着目した戦略的な投資が特徴です。ターゲットとなる企業の選定においては、産業再編の中心となりえる企業を重視し、買収や投資を通じて規模拡大を図る「ロールアップ」戦略も活用します。

このアプローチの中核を担うのが、「インダストリアル・パートナー」と呼ばれる各産業の専門家たちです。元クライスラー社長のトーマス・ストールカンプ氏、元オムロン副社長の越尾壮一氏、元ホンダ副社長の入交昭一郎氏など、著名な経営者たちが同社の投資戦略に参画し、投資先企業の経営にも関わっています。

長銀問題と批判

リップルウッドは、1998年に経営破綻した旧日本長期信用銀行（長銀）を、わずか10億円で買収したことで大きな注目を集めました。その後、新生銀行として再生し上場させたことで、巨額の利益を得ましたが、この取引は「ハゲタカファンド」と批判される一因となりました。

批判の焦点は、低価格での買収、海外投資ファンドへの税金逃れ、瑕疵担保条項の存在、そして新生銀行の当時の社長である八城政基氏への国会参考人招致拒否など多岐に渡ります。しかし、リップルウッド側は、長銀の資産査定を日本政府が拒否したため瑕疵担保条項が設けられたと主張し、企業価値最大化のための正当な措置だったと反論しました。また、雇用維持にも配慮していたと主張しています。

メディアでの取り上げ

リップルウッド・ホールディングスの活動は、テレビ番組「日経スペシャル ガイアの夜明け」でも取り上げられ、その投資戦略や社会への影響について、様々な視点からの議論が展開されました。

まとめ

リップルウッド・ホールディングスは、その独自の投資アプローチと、再生事業における成功例によって、投資業界に大きな影響を与えました。しかし、長銀問題をはじめとした批判も存在し、その活動内容については、現在もなお議論が続いています。企業再生という側面と、その手法をめぐる倫理性や社会への影響など、様々な観点から、同社の活動とその影響を評価する必要があります。

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