リティヤ (正教会)

リティヤ（ギリシア語: Λιτή, ロシア語: Лития, 英語: Litiy）は、正教会における重要な奉神礼の一つです。日本語では「リテヤ」とも表記され、祈祷書には「熱衷公祷」という漢字表記も見られますが、日本正教会では一般的に片仮名表記の「リティヤ」が用いられます。

このリティヤには、名称は同じでも内容が全く異なる二つの形式が存在します。それぞれのリティヤは、異なる目的と構成を持っており、使用される祭具も異なります。一つは永眠者のためのリティヤ、もう一つは徹夜祷中の晩課で行われるリティヤです。

永眠者のためのリティヤ

このリティヤは、永眠者の永遠の安息、永遠の生命、そして永遠の記憶を祈るために行われます。パニヒダ（永眠者のための祈り）や埋葬式の終結部分を構成することが一般的ですが、単独で行われることもあります。この形式のリティヤは、亡くなった方の魂の平安を願い、神の憐れみを求める深い祈りです。故人の霊が安らかであるようにと祈り、その記憶が永遠に保持されるようにと願います。

徹夜祷中の晩課におけるリティヤ

もう一つのリティヤは、徹夜祷の晩課の中で行われるものです。このリティヤでは、パン、麦（日本では米を用いるのが一般的）、葡萄酒、油が祝福されます。これらの聖なる品々は、神の恵みと祝福を象徴し、信徒の霊的な成長と滋養のために用いられます。このリティヤは、一日の終わりと新たな一日の始まりを神に捧げ、その恵みと導きを祈るものです。

リティヤの構成と祭具の違い

永眠者のためのリティヤと晩課におけるリティヤは、その内容と構成が大きく異なります。永眠者のためのリティヤでは、パニヒダ台の前で祈りが捧げられます。一方、晩課におけるリティヤでは、パン、麦、葡萄酒、油を載せるための祭台が用いられます。これらの祭台は形状も異なり、それぞれのリティヤが持つ独自の目的と性格を反映しています。永眠者のためのリティヤは、故人の魂の安息を願い、神の憐れみを求める祈りであるのに対し、晩課のリティヤは、神への感謝と新たな恵みを求める祈りであるという違いがあります。

このように、リティヤという同じ名称を持ちながらも、それぞれ異なる目的と意味を持つ二つの奉神礼が存在します。どちらのリティヤも、正教会の信仰生活において重要な役割を果たしており、信徒の霊的な成長と神との繋がりを深めるための大切な機会となっています。

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