パニヒダ

パニヒダとは

パニヒダ（ギリシャ語: Μνημόσυνο、ロシア語: Панихи́да、英語: Memorial service）は、正教会において永眠者のために執り行われる奉神礼です。この儀式の目的は、亡くなった人が神の国で安らかに過ごせるよう祈り、彼らの信仰を継承しながら共に永遠の命に参加できることを願うことにあります。

埋葬儀式とパニヒダは、一般的に正教徒に対して行われ、未信徒に対しては「異教人パニヒダ」と呼ばれる別の儀式が実施されることが多いです。パニヒダは通夜として行われることがありますが、永眠者の死後、特定の期間や暦に基づいて実施されることもあります。正教会の聖歌の音楽として販売されている一部のCDでは「正教会のレクイエム」という表現が用いられることがありますが、これはパニヒダの本質を正確に表現していないと言われています。

語源と語義

日本語の「パニヒダ」は教会スラヴ語の「Панихида」から来ており、その語源はギリシャ語の「パン（すべて）」「ニクス（夜）」「オーデー（歌）」の合成語です。これは「夜を徹して歌う」ことや「徹夜の祈り」を意味し、古代の教会では異教徒からの迫害を避けるため、夜間に棺の上で祈りを捧げて埋葬が行われていたことに起因しています。しかし、現代ではこのような夜通しの祈りはほとんど行われていません。

現代のギリシャ正教会では「Μνημόσυνο」（ムニモーシノ、記憶を意味する）と称され、パニヒダという名前は使われていません。日本正教会では埋葬の前晩に行われるパニヒダを仏教の「通夜」と呼ぶことが珍しくないものの、両者は厳密には同一ではありません。

行われる日時

パニヒダは未亡人の記憶を祈るために埋葬式の前夜や埋葬後の特定の時期に実施されます。一般的に、永眠者の記憶を行う祈りとして親族や友人が聖詠を唱える習慣もあります。正教会では死を「天国への入り口」と捉え、祭りとして位置付けています。無数の祭り名がこの儀式に冠され、特定の時期に行われることが奨励されていますが、事情により時期ずれも一般的です。

• - 三日祭: 永眠者の死後3日目に行い、イエス・キリストによる救済の祈りを捧げます。
• - 九日祭: 9日目に行われ、永眠者の霊が天上の教会に合流するよう祈ります。
• - 四十日祭: 40日目に行われ、イエス・キリストの昇天による救済を願います。
• - 一年祭: 永眠してから1年目に行われます。

土曜日は特に永眠者を記憶する日で、創世記に由来する神の安息の日として理解されています。他にも特、有名な日があり、大斎期間や復活祭の前後や、各種祝日に関連づけられて重要視されています。

構成

パニヒダの基本的な流れは、司祭や輔祭、詠隊による永眠者のための祈りと聖歌からなります。儀式は「永遠の記憶」との誓いで終了し、神による永遠の記憶が願われます。

香炉と糖飯

儀式中には香炉が使われ、乳香が焚かれ独特の香りが漂います。これに触れるのは司祭・輔祭のみです。また、パニヒダの後には「糖飯」と呼ばれる甘い食物が供されることがあります。これは穀物を甘く炊き上げたもので、天の国の味を象徴します。

パニヒダの音楽と作曲家

パニヒダで演奏される聖歌は、シンプルで無伴奏の旋律が主流です。稀に、特定の作曲家による曲が用いられることもあります。著名な作曲家にはアレクサンドル・アルハンゲルスキーやパーヴェル・チェスノコフがいます。彼らの作品は特に録音媒体で聴くことが可能です。

これらの要素から、パニヒダは正教会で非常に重要な意味を持つ儀式であり、亡き人々に対する愛と敬意を表すために、今なお多くの信者たちによって大切にされ続けています。

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