リトル・フィート・ファースト

リトル・フィート・ファースト

アメリカのロックバンド、リトル・フィートが1971年にリリースしたデビューアルバム『リトル・フィート・ファースト』は、グループの音楽性を示す重要な作品です。本作は、バンドのオリジナルメンバーであるローウェル・ジョージとロイ・エストラーダがフランク・ザッパのもとで活動していたことを背景に持っています。ビル・ペインもマザーズ・オブ・インヴェンションのオーディションを受けたが加入には至らず、リッチー・ヘイワードはジョージが以前在籍していた「ザ・ファクトリー」での友人でした。これらの経歴は、バンドの音楽スタイルに深い影響を与えています。

特に印象的な楽曲「ウィリン」は、ジョージがリトル・フィート結成前に作成したもので、本作ではプロデューサーであるラス・タイトルマンの提案に従い、ライ・クーダーとのツイン・ギターで録音されました。バンドは次作『セイリン・シューズ』でこの曲をテンポを落として再録音しています。

アルバムの発売当初、商業的な成功は収められなかったものの、約1万1千枚の売上に留まりました。しかし、音楽評論家たちはこのアルバムを高く評価し、特にオールミュージックのスティーブン・トーマス・アールワインは満点の評価を付け、リトル・フィートの最も優れた作品の一つであり、隠れた名盤としての地位を持っていると称賛しました。彼は、ジョージの以前の活動との共通点が多いことを指摘しつつも、曲作りや演奏の技術が格段に成熟していると述べています。

収録曲の概要

このアルバムにはいくつかの特徴的な曲が収められています。サイド1の最初のトラック「スネークス・オン・エヴリシング」はビル・ペインの作品であり、続く「ストロベリー・フラッツ」や「トラック・ストップ・ガール」も魅力的です。特に「ウィリン」は、リトル・フィートの代表曲として愛され続けています。サイド2には、ロズベルト・サイクスとチェスター・バーネットのカバー「フォーティ・フォー・ブルーズ/ハウ・メニー・モア・イヤーズ」が収められ、ここでもバンドの幅広い音楽性が感じられます。

参加ミュージシャン

アルバムには、ローウェル・ジョージがボーカルとギター、ビル・ペインがボーカルとキーボードを担当しています。ロイ・エストラーダはベースとバックグラウンド・ボーカルを加え、リッチー・ヘイワードがドラムを演奏しました。また、ライ・クーダーがスライドギターやギターで参加し、スニーキー・ピートがペダル・スティール・ギターを演奏するなど、豪華な音楽家が参加しています。特に、ラス・タイトルマンのピアノやパーカッションが曲にさらなる深みを与えています。

『リトル・フィート・ファースト』は、一見して多くの人々に知られていないかもしれませんが、リトル・フィートの音楽的アイデンティティを確立し、彼らの後の活動に大きな影響を与える作品となりました。スティーヴィー・レイ・ヴォーンやボニー・レイットなど、多くのアーティストに影響を与えたこのアルバムは、今後も多くの音楽ファンに愛されていくことでしょう。

もう一度検索