リピータ

リピータとは

リピータは、電気通信において信号を中継する装置であり、受信した電気信号をより高いレベルや出力で再送信する役割を担います。この再送信により、信号の到達範囲を拡大することが可能になります。また、リピータは障害物を越えて信号を到達させるためにも使用されます。

リピータの種類

電気通信の分野では、リピータは主に2つのタイプに分類されます。

1. アナログ増幅型: 入力された信号をアナログ的に増幅するタイプです。このタイプは、信号の波形を保持したまま、その振幅を大きくすることで信号を増強します。
2. デジタル増幅・整形型: デジタル入力信号を増幅し、波形を整形した上で、タイミングを調整して再送信するタイプです。このタイプは、ノイズが乗った信号や減衰した信号を元の状態に近い形に復元する能力を持ちます。

コンピュータネットワークにおけるリピータ

コンピュータネットワークの分野では、リピータは物理的な電気信号や光信号を扱う機器であり、データの内容を解釈することはありません。そのため、OSI参照モデルにおける物理層に対応する機器として扱われます。OSI参照モデルは、ネットワークの機能を階層的に分割したモデルであり、物理層はその最下層に位置します。

物理層に対応する具体的な機器が「リピータ」または「リピータハブ」です。リピータは、有線通信における電気信号、光信号、無線信号など、様々な種類の信号を扱います。

イーサネットにおけるリピータ

イーサネットでは、10BASE-2、10BASE-5、10BASE-Tといった規格が普及した時代に、リピータは広く使用されました。リピータは、複数のネットワークセグメントを接続し、信号を中継する役割を果たしました。リピータは、受信した電気信号をそのまま中継するため、データの解釈や交通整理は行いません。したがって、リピータで接続されたセグメントは、単一のコリジョンセグメント（信号の衝突が起こりうる範囲）を構成します。

10BASE-T規格においては、リピータはリピータハブ（またはシェアードハブ）として利用されました。リピータハブは、1つのポートから受信した信号を増幅し、他のすべてのポートに送信する機能を持ちます。これにより、ネットワークの物理的な範囲を拡大し、複数の機器を接続することが可能になりました。

リピータの役割

リピータは、信号の減衰や歪みを補正し、ネットワークの信頼性を向上させる上で重要な役割を果たします。特に、長距離の通信においては、信号が減衰しやすく、リピータは不可欠な存在です。リピータの利用により、遠隔地間での安定した通信が可能になります。また、リピータは、ネットワークの規模を拡大し、より多くの機器を接続するためにも利用されます。しかし、リピータは、ネットワークセグメントを拡大するとともに、コリジョン（信号の衝突）が発生する可能性を高めるという点には注意が必要です。

近年のネットワークでは、リピータよりも高度な機能を持つスイッチングハブやルーターが主流になっており、リピータは以前ほど使用されなくなってきています。しかし、リピータの基本的な原理と役割は、ネットワーク技術を理解する上で重要な要素であり続けます。

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