リムリック大学

リムリック大学（University of Limerick、Ollscoil Luimnigh）は、アイルランドのリムリック県に本部を置く国立大学です。1972年に国立高等教育研究所として創設され、1989年に大学として正式に認可されました。大学の略称はULです。アイルランド独立後に設立された最初の大学の一つであり、ダブリンシティ大学と並び称されています。

大学概要

キャンパス

リムリック大学のキャンパスは、シャノン川の両岸に位置し、北岸に46ヘクタール、南岸に91.5ヘクタールの広大な敷地を有しています。総面積は137.5ヘクタールに及び、市内中心部から約5kmの距離にあります。この広大なキャンパスは、多様な学部や研究施設、学生寮などを備えています。

学生数

11,000人以上の学部生、1,500人以上のパートタイム学生、800人以上の研究院生、1,300人以上の大学院生が在籍しています。留学生も2,400人以上と国際色豊かな大学です。

教育プログラム

リムリック大学は、協同組合教育（Co-op）プログラムを導入しており、全ての学生が学位取得の一環として8ヶ月間の職場体験を経験することができます。これにより、学生は実践的なスキルと知識を習得し、卒業後のキャリア形成に役立てることができます。

日本語教育

学士課程では、法学科、応用言語学科、経営学科で日本語を学ぶことができます。長期インターンシップやJETプログラムへの参加機会も提供され、日本人専任講師も在籍しています。

大学評価

世界ランキング

リムリック大学は、国際的な大学ランキングでも一定の評価を受けています。

QS世界大学ランキング 2021：世界511～520位、アイルランド国内6位
THE世界大学ランキング 2021：世界501～600位、アイルランド国内8位

これらのランキングは、大学の研究力、教育の質、国際性などを総合的に評価したものです。

入学試験

学部課程

アイルランド、イギリス、EU加盟国の学生は、中央出願局（CAO）を通じて学部課程に出願します。入学は学力に基づいており、最低限の入学要件を満たす必要があります。学部やコースによっては追加の試験や要件がある場合もあります。

アイルランドの国家統一高校卒業試験であるリービング・サーティフィケートの結果が合否に大きく影響します。また、イギリスのAレベル、フランスのバカロレア、国際バカロレアなどの資格も利用可能です。EU圏外からの出願者には異なる手続きが適用されます。

大学院課程

大学院課程への入学は、リムリック大学が直接担当します。

沿革

大学設立までの道のり

1845年にリムリック市長がクイーンズ・カレッジの設立を申請しましたが実現せず、1950年代後半にリムリックに大学を設立する運動が本格的に始まりました。リムリック大学計画委員会が設立され、1972年に国立高等教育研究所（NIHE）として開校しました。その後、1989年に大学として正式に認可されました。

NIHEから大学へ

NIHEは、アイルランドの経済発展と技術革新のニーズに応えるため、外国からの投資を呼び込み、国際的な教員を雇用しました。この研究所は、世界銀行や欧州投資銀行からの資金援助を受け、急速に発展しました。

1977年にはアイルランド国立大学の認定カレッジとなることを申請しましたが、学生などの強い反対により独立した教育機関となりました。その後、1989年にリムリック大学として独立し、独自の学位を授与する権限を持つことになりました。この大学の設立は、アイルランドの高等教育における重要な転換点となりました。

拡大と発展

1991年には、リムリックのトモンド教育カレッジが法人化され、大学に統合されました。メアリー・インマキュレート・カレッジ（MIC）の学位もリムリック大学から授与されるようになり、教育分野でも大きな発展を遂げました。

特徴的な教育制度

アメリカ大学の要素

リムリック大学は、コーオプ教育、成績平均点、3学期制など、アメリカ合衆国の大学の要素を取り入れています。これにより、学生は実践的で効率的な学習環境で学ぶことができます。

国際交流

ヨーロッパのエラスムスプログラムに積極的に参加しており、ヨーロッパ24カ国に207の協定校を有しています。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、中国、シンガポール、日本など、世界各地の大学とも協定を結び、国際的な交流を推進しています。

リムリック2030

リムリック市中心部の再開発計画の一環として、大学は市中心部にも拠点を置くことを計画しています。現在、大学の主要学部は郊外のキャッスルトロイにありますが、市中心部への進出は、大学と地域社会との連携をさらに深めるものと期待されています。

大学の組織

ガバナンス

リムリック大学は、1980年と1989年の法律に基づいて運営されており、大学に関する重要な法律として1997年の大学法があります。大学の運営は、幅広い団体や当局から選出された29名のメンバーからなる統治機関によって行われます。

学長

大学長は、理事長が務め、2019年現在はメアリー・ハーニーがその職にあります。

認定校

リムリック大学は、メアリー・イマキュレート大学（MIC）とMICセント・パトリック・キャンパスを認定校としています。

学部と研究科

学部

人文社会科学部
史学科
音楽・舞踏国際アカデミー
法学科
政治・行政学科
現代言語学部・応用言語学科
英語・アイルランド語・コミュニケーション学部
社会学科
教育健康科学部
大学院入学医学科
看護・助産学科
体育・スポーツ科学科
教育学科
専門医学科
心理学科
ケミー・ビジネススクール
経理財務学科
経済学科
経営・マーケティング学科
仕事・雇用学科
理工学部
コンピュータ科学・情報システム学科
電子情報工学科
数学・統計学科
工学科
デザイン学科
自然科学科

研究科

人文社会系研究科
史学研究系
音楽・舞踏国際アカデミー
法学研究系
政治・行政学研究系
現代言語学部・応用言語学研究系
英語・アイルランド語・コミュニケーション研究系
社会学研究系
教育健康科学系研究科
看護・助産学研究系
体育・スポーツ科学研究系
教育学研究系
専門医学研究系
心理学研究系
ケミー・ビジネススクール
経理財務学研究系
経済学研究系
経営・マーケティング研究系
仕事・雇用学研究系
理工学系研究科
コンピュータ科学・情報システム研究系
電子情報工学研究系
数学・統計学研究系
工学研究系
デザイン研究系
自然科学研究系

研究

主要な研究機関

物質・表面科学研究所（MSSI）：ナノ材料、生体材料、複合材料、生体触媒など、表面科学と材料分野の基礎研究を行っています。
アイルランドソフトウェア研究センター（Lero）：アイルランド国内の大学と産業界が連携し、ソフトウェア工学の研究を行っています。
インタラクション・デザイン・センター（IDC）：情報通信技術の設計、利用、評価に関する研究を行っています。
ローカリゼーション研究センター（LRC）：ローカリゼーションの研究と社会的なローカリゼーションを推進しています。
企業研究センター（ERC）：企業が直面する課題に関する研究と実践的な経験を提供しています。

学生生活

学生自治会

リムリック大学には、学生自治会（UL Student Life）と大学院生を代表する大学院学生自治会があります。これらの組織は、学生生活を向上させるために様々な活動を行っています。

スポーツクラブとサークル

80以上のスポーツクラブやサークルがあり、学生生活を豊かにする活動をしています。

学生寮

キャンパス内には、プラッシー・ビレッジ、キルムリー・ビレッジ、ドロムロー・ビレッジなど、複数の学生寮があります。キャンパス外にも、パークビューホールやグロッディ学生ビレッジなどの寮があります。

対外関係

海外大学との協定

世界約400校の大学と学術交流協定を結んでおり、日本には城西国際大学、名古屋商科大学、名古屋外国語大学、東洋大学、早稲田大学の5校と協定を結んでいます。

日本の大学との関係

明星大学と海外学術交流を、法政大学とは海外派遣プログラムの協定を結んでいます。

まとめ

リムリック大学は、アイルランドの高等教育を担う重要な大学の一つです。多様な学部や研究科、活発な国際交流、実践的な教育プログラムを通じて、学生の成長を支援しています。

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