リュウキュウコノハズク

リュウキュウコノハズク（琉球木葉木菟）

リュウキュウコノハズク（学名：Otus elegans）は、フクロウ目フクロウ科コノハズク属に分類される鳥類です。その名の通り、主に日本の南西諸島を中心とした地域に生息しています。

分布

この鳥は、台湾の蘭嶼（らんしょ）、日本の奄美大島より南の島々（沖縄本島、宮古島、八重山諸島など）、およびフィリピンのバタン島にかけて分布しています。日本国内では、生息域において一年を通じて同じ場所に留まる「留鳥」として確認されています。

形態

成鳥の全長は約22センチメートルと、比較的小型のフクロウです。全身は、樹皮のような保護色を思わせる黒褐色の、複雑で入り組んだ斑紋に覆われています。体の上面はやや灰色がかった褐色の羽毛が主体ですが、下面はより淡い赤褐色を帯びており、細く短い縦方向の縞模様が見られます。頭部から胸部にかけての羽毛は、他の部分と比較して赤みが強い傾向があります。特徴的なのは、頭部にある耳のような形をした小さな羽毛の束、いわゆる「羽角（うかく）」です。この羽角は、周囲の環境に溶け込む助けとなると考えられています。また、目は鮮やかな黄色の虹彩を持ちます。足の指には羽毛が生えておらず、この点も他のフクロウ類と比較する上での形態的特徴の一つです。雌雄で外見上の明確な違いはほとんど見られません。

分類

リュウキュウコノハズクの分類上の位置づけについては、長らく議論があります。本種はもともと独立した種として記載されましたが、その後は日本のコノハズク（Otus scops）の亜種として扱われる時期が続きました。しかし、近年になって、特に鳴き声のパターンがコノハズクと明らかに異なることなどから、再び独立した種として認める見方が有力となっています。一方で、依然としてコノハズクや、インドネシアなどに分布するセレベスコノハズク（Otus manadensis）の亜種とする説も存在しており、分類学的な研究が進められています。

生態

リュウキュウコノハズクは、平野部から山地にかけて広がる森林環境を主な生息地としています。夜行性であり、活動を開始するのは夕暮れ時からです。主な食べ物は動物性のものです。昆虫類、クモ、ヤモリなどを狩って食料とします。獲物を探す際には、羽音をほとんど立てずに静かに飛び回ることで、獲物に気づかれることなく接近することができます。

繁殖期には、主に樹木の洞（うろ）を選んで巣とすることが知られています。特別な巣材を運び込むのではなく、樹洞の底に直接卵を産むのが一般的です。しかし、特定の条件下では、オオタニワタリのような大型のシダ植物の葉の茂みの中や、シロアリなどの蟻塚を利用して巣を作る事例も確認されています。

鳴き声は、本種を識別する上で重要な特徴の一つです。夜間、オスは「コホゥ」という短い鳴き声を、比較的規則的な間隔を置いて繰り返し発します。この鳴き声は縄張り宣言や自己アピールとして機能すると考えられています。繁殖期には、オスとメスがお互いに鳴き交わす求愛の鳴き声も聞かれます。興味深いことに、この鳴き声は繁殖期に限らず、一年を通して聞かれることが多いとされています。

亜種と保全状況

リュウキュウコノハズクにはいくつかの亜種が認められています。代表的なものとして、日本の奄美群島から八重山諸島にかけて分布する基亜種Otus elegans elegans（リュウキュウコノハズク）、フィリピンのバタン島に分布するO. e. calayensis（カラヤンコノハズク）、日本の大東諸島に分布するO. e. interpositus（ダイトウコノハズク）、そして台湾の蘭嶼に分布するO. e. botelensis（ランユウコノハズク）などが挙げられます。

日本の環境省が作成する[レッドリスト]]においては、基亜種であるリュウキュウ[[コノハズク]が「絶滅危惧II類（VU）」に指定されており、野生での生息数が減少傾向にあることから、保全上の配慮が必要な状況です。

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