リュドミラ・パリエロ

リュドミラ・パリエロ：南米初のパリ・オペラ座バレエ・エトワール

リュドミラ・パリエロ（Ludmila Pagliero）は、1983年10月15日生まれのアルゼンチン人バレエダンサーです。2003年にパリ・オペラ座バレエに入団し、2012年からは最高位のダンスーズ・エトワールとして活躍しています。彼女のバレエへの情熱と努力は、彼女を南米出身者として初めてパリ・オペラ座バレエのエトワールに押し上げました。

幼少期とバレエとの出会い

パリエロはブエノスアイレスのパレルモ地区で、電気技師の父とマッサージ師の母の間に生まれました。8歳でクラシック・ダンスを始めますが、当初はジャズ・ダンスに興味を持っていました。しかし、教師の勧めにより再びクラシック・ダンスを学ぶようになり、その才能を開花させていきました。

彼女の才能を見抜いた教師は、テアトロ・コロンの高等芸術学院（Instituto Superior de Arte）への入学オーディションを勧めました。10歳という若さで大きな挑戦でしたが、見事に合格し入学を果たします。高等芸術学院では、かつてテアトロ・コロンのプリマ・バレリーナを務めたオルガ・フェリなど、著名な教師陣から指導を受けました。パリエロは後に「ダンサーになるという夢は、まさにテアトロ・コロンで生まれた」と語っています。

パリ・オペラ座バレエへの道のり

高等芸術学院卒業後、パリエロはサンティアゴ・バレエ団から1年契約のオファーを受けました。16歳で家族から離れて異国で生活することは大きな決断でしたが、彼女は挑戦を選びました。サンティアゴ・バレエ団ではソリストに昇進し、『眠れる森の美女』や『テーマとヴァリエーション』など、より高度な役柄を踊る機会を得ました。

2003年にはニューヨーク国際バレエコンクールに参加し、銀メダルとイーゴリ・ユースケヴィチ賞を受賞しました。イーゴリ・ユースケヴィチ賞には、アメリカン・バレエ・シアターとの1年契約が付属していました。しかし、その直後、パリエロはパリ・オペラ座バレエのオーディションに参加するためフランスへ向かいます。

パリ・オペラ座バレエのオーディションでは、フルタイム契約の席は2つしかありませんでした。パリエロは応募者の中で5番手という結果でしたが、アメリカン・バレエ・シアターとの契約を検討していたところ、パリ・オペラ座バレエから3か月のパートタイム契約を提示され、それを受け入れることにしました。

パリ・オペラ座バレエでの飛躍

パートタイム契約でパリ・オペラ座バレエの『イワン雷帝』公演に出演したパリエロは、その才能を発揮し、シーズン末まで契約が延長されました。2004年のオーディションでは、フルタイム契約を得ることはできませんでしたが、コール・ド・バレエの補充要員（surnuméraire）として契約を結びました。パリ・オペラ座バレエの団員のほとんどがパリ・オペラ座バレエ学校の卒業生である中、パリエロは異質な存在として苦労を感じることもありました。

2005年、パリエロは三度目の挑戦でついにフルタイム契約を勝ち取りました。その後、オーレリー・デュポンの指導を受けながら（パリ・オペラ座バレエでは上位のダンサーと組んでトレーニングするのが一般的です）、着実に昇進を重ね、26歳でプルミエ・ダンスーズに昇りつめました。2009年には「クラシック音楽」部門でコネックス賞を受賞しています。

2012年3月、ルドルフ・ヌレエフ版『ラ・バヤデール』の公演と映画館での中継上映が予定されていましたが、ガムザッティ役のドロテ・ジルベールとその代役が相次いで負傷してしまいました。そこで白羽の矢が立ったのが、2年間この役を陰で練習していたパリエロでした。ソロル役のジョジュア・オファルトとニキヤ役のデュポンとの簡単なリハーサルだけで舞台に立つことになりましたが、彼女は見事にその大役を果たしました。

その公演の最後に、芸術監督は「パリエロが示した才能と芸術的勇気」を称え、彼女を最高位のエトワールに昇進させることを発表しました。これにより、パリエロは南米出身者として、そしてパリ・オペラ座バレエ学校の卒業生以外として、史上初の快挙を成し遂げたのです。

現在、パリエロはボリショイ劇場やマリインスキー劇場など、国際的に著名な劇場にも客演し、その才能を世界に広げています。彼女のバレエに対する情熱と努力は、多くの人々に感動と希望を与え続けています。

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