パリ・オペラ座バレエ

パリ・オペラ座バレエ：世界最高峰のバレエ団

パリ・オペラ座バレエ（Ballet de l'Opera national de Paris）は、フランスが誇るバレエ団であり、パリ国立オペラの一組織として、その輝かしい歴史を刻んできました。世界最古の国立バレエ団として知られ、ロンドンのロイヤル・バレエ団、モスクワのボリショイ・バレエ、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエと共に、世界4大バレエ団の一角を担っています。

歴史

その起源は17世紀に遡ります。1669年、ルイ14世によってオペラ・アカデミー（Académie d'Opéra）として創設されたのが始まりです。1673年に王立音楽アカデミー（Académie Royale de Musique）と改称され、ジャン＝バティスト・リュリの指揮下に入ると、演劇的ダンスがオペラに不可欠な要素として組み込まれました。1994年以降は、パリ国立オペラ（Opéra national de Paris）という名称で知られています。

前史

パリ・オペラ座バレエのルーツは、ルイ14世の宮廷におけるダンスの組織、慣習、実践に深く根ざしています。モリエールがピエール・ボーシャンやジャン＝バティスト・リュリと協同で制作したコメディ・バレエは、その後の発展に大きな影響を与えました。1661年の『はた迷惑な人たち』、1670年の『町人貴族』などが代表的な作品として挙げられます。これらの作品は、パレ・ロワイヤル劇場でモリエール劇団によって上演され、後の歌劇団とバレエ団にとって重要な拠点となりました。

1661年には、ルイ14世が王立舞踊アカデミー（Académie Royale de Danse）を設立し、宮廷の娯楽におけるダンスの質を高めることを目指しました。アカデミーの会員は公認のダンス教師として、宮廷バレエやモリエールの作品、そして後のオペラ作品の創作に携わりました。1681年には、リュリのバレエ『愛の勝利』で、ラ・フォンテーヌ嬢が最初のプロの女性ダンサーとしてデビューしました。

バレエ学校

パリ・オペラ座バレエと同様に名高いのが、付属のパリ・オペラ座バレエ学校（École de danse de l'Opéra national de Paris）です。世界最高のダンススクールの一つとして知られ、2013年には創立300周年を迎えました。この学校からは数多くの著名なダンサーが輩出されており、ブノワ賞の受賞者は20回を数えます。入学と入団の競争は非常に厳しく、バレエ団への入団は、バレエ学校での学びと、毎年5月に行われる試験での合格がほぼ必須となっています。

階級制度

パリ・オペラ座バレエには、エトワール（Danseur Étoile）を頂点として、プルミエ・ダンス―ル（premier danseur）、スジェ（sujet）、コリフェ（coryphée）、カドリーユ（quadrille）という厳格な階級制度が存在します。バレエ団員の95%がバレエ学校の出身であり、コール・ド・バレエの一員となるためには、バレエ学校で最低2年間学ぶ必要があります。しかし、バレエ団に入団できるのは卒業生のほんの一握りであり、まずは研修生としてキャリアをスタートさせます。カドリーユへの昇進には、年11月の昇進試験に合格することが求められます。さらに上を目指すには、翌年の昇進試験で審査員の前で優れたパフォーマンスを披露しなければなりません。

最高位のエトワールは、才能と実績が認められた者のみが任命されます。プルミエ・ダンス―ルとして長年主要な役を踊り、卓越した技術と芸術性を示すことが必要です。

近年の動向

近年では、ルドルフ・ヌレエフが芸術監督を務めた時代が黄金期として知られています。また、ブリジット・ルフェーヴルは、ヌレエフが確立した高いレベルを維持しつつ、ウィリアム・フォーサイス、アンジュラン・プレルジョカージュなど、優れた振付家への委嘱を行いました。2014年にはバンジャマン・ミルピエが芸術監督に就任しましたが、その革新的な試みは伝統との軋轢を生み、短期間で辞任に至りました。その後、オーレリー・デュポンを経て、2022年10月にはジョゼ・マルティネスが芸術監督に就任し、新たな時代を迎えています。

代表的な振付家と作品

パリ・オペラ座バレエには、数多くの著名な振付家が関わってきました。ピエール・ガルデル、フィリッポ・タリオーニ、ジュール・ペロー、アルチュール・サン＝レオン、セルジュ・リファール、ジョージ・バランシン、ローラン・プティ、ケネス・マクミラン、ルドルフ・ヌレエフ、モーリス・ベジャール、ウィリアム・フォーサイス、アンジュラン・プレルジョカージュ、ピナ・バウシュ、勅使川原三郎、ジョン・ノイマイヤーなどが挙げられます。

代表的な作品としては、『ラ・シルフィード』、『ジゼル』、『コッペリア』、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『春の祭典』など、数々の名作が上演されています。

パリ・オペラ座バレエは、その長い歴史と伝統の中で、常にバレエ芸術の最先端を走り続けてきました。これからも、世界中の観客を魅了し続けることでしょう。

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