リヨン国立オペラ

リヨン国立オペラ

リヨン国立オペラ（フランス語: Opéra National de Lyon）は、フランス南東部の大都市リヨンを拠点とする、フランス国立の歌劇団です。「オペラ・ヌーヴェル（Opéra Nouvel）」という愛称でも親しまれているリヨン歌劇場（フランス語: Opéra de Lyon）を主要な公演会場として活動しています。

沿革

リヨンにおけるオペラ上演の歴史は古く、最初の歌劇場がこの地に創立されたのは1756年のことです。その後、1831年にはより規模の大きな旧歌劇場での上演が始まりました。現在のリヨン歌劇場での公演が開始されたのは1993年からのことです。日本の作家である永井荷風は、1907年から1908年にかけてリヨンに滞在しており、この旧歌劇場に通った経験を持っています。彼はその時の観劇の様子を著書『西遊日誌抄』に詳しく記しており、ワーグナーの『タンホイザー』や『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、マスネの『マノン』、ウェルテルの『ウェルテル』といった作品を鑑賞したことが綴られています。

運営と組織

かつてリヨン国立オペラのオーケストラは、1983年まではリヨン国立管弦楽団が兼務していましたが、現在は分離しており、歌劇場専属の独立したオーケストラを擁しています。この専属オーケストラの団員数は時代と共に拡充が進んでおり、音楽評論家の吉田秀和氏の著書『僕のオペラ』によれば1993年時点では41名でしたが、2016年時点の公式ウェブサイトでは57名の在籍が確認できます。ドイツ圏やイタリアにおける同規模の都市の主要歌劇場と比較すると、およそ100名近い団員を擁するオーケストラが多いのに比べ、人員規模では譲るものの、フランス国内においては常設の管弦楽団を持つ歌劇場自体が少ないため、パリ国立オペラなどに次ぐ有力な存在感を放っています。特にジャック・オッフェンバックの作品上演などにおいては、高い実績を積み重ねています。

歴代音楽監督

リヨン国立オペラがオーケストラを分離して以降、その音楽監督には、ジョン・エリオット・ガーディナー、ケント・ナガノ、イヴァン・フィッシャーといった国際的に著名な指揮者たちが名を連ねてきました。そして2008年からは、ベルギーのモネ劇場から転任した日本の指揮者、大野和士氏が音楽監督を務めています。

主な録音

リヨン国立オペラは、主要な音楽監督や客演指揮者との間で、多くの録音も行っています。ジョン・エリオット・ガーディナーの指揮では、グルックのオペラ作品、ビゼーの『アルルの女』抜粋、シューベルトの交響曲第7番『未完成』や第8番『ザ・グレート』などがあります。ケント・ナガノ指揮では、エラート・レーベルを中心に様々なオペラの全曲録音を多数手掛けています。また、エヴェリーノ・ピトの指揮によるドニゼッティの『愛の妙薬』やベッリーニの『夢遊病の女』といった録音も知られています。

来日公演

リヨン国立オペラは、海外での公演も積極的に行っており、日本へもツアーで訪れています。直近では、音楽監督である大野和士氏の指揮のもと、2014年（平成26年）に日本公演を実施し、日本のオペラファンにその実力を披露しました。

リヨン国立オペラは、その長い歴史と現代的な運営、そして国際的な音楽監督のもと、フランス国内はもとより世界に向けて質の高いオペラ公演を発信し続けています。

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