リラ (通貨)

リラ（lira）は、主にトルコなどで使用される通貨の名称です。トルコ語では「リラ (lira)」と表記されます。また、イタリア語や英語などでは複数形を「リレ (lire)」と呼びます。

リラの語源と歴史

リラの語源は、ラテン語で天秤を意味する「リーブラ (libra)」に由来します。リーブラは質量の単位でもあり、貨幣としては1リーブラの銀の価値を表していました。イタリア語の音韻変化により、2重子音の一方が脱落し「リラ (lira)」となりました。

通貨記号の「￡」は、「libra」または「lira」の頭文字を図案化したものです。この記号は、イタリアなどで使われていたほか、イギリスなどではポンドの通貨記号としても用いられています。通貨記号には他に、「L」、「￡」、そして「L」に国名の頭文字を付加したものなどがあります。

各国のリラ

リラは歴史的に多くの国で使用されてきましたが、現在も使われているものと、すでに廃止されたものがあります。

現行のリラ

新トルコ・リラ: トルコの通貨であり、補助通貨は100クルシュ(kuruş)です。2009年に名称を再び「トルコ・リラ」に戻した新紙幣が発行されましたが、これは実質的に新トルコ・リラの改称と考えられます。
レバノン・ポンド: レバノンの通貨であり、「レバノン・リラ」、「レバノン・リーヴル」とも呼ばれます。
シリア・ポンド: シリアの通貨であり、「シリア・リラ」とも呼ばれます。
ヨルダン・ディナール: ヨルダンの通貨であり、「ヨルダン・リラ」とも呼ばれます。

廃止されたリラ (ユーロへ移行)

以下のリラは、欧州通貨統合によりユーロに移行し、廃止されました。

イタリア・リラ: イタリアの旧通貨で、1861年から2002年まで使用されていました。補助通貨は100チェンテージミ(centesimi)です。2002年2月28日をもってユーロに移行しました。
サンマリノ・リラ: サンマリノの旧通貨で、1860年代から2001年まで使用されていました。価値はイタリア・リラと同じでした。2001年 12月31日をもってユーロに移行しました。
バチカン・リラ: バチカンの旧通貨で、1929年から2001年まで使用されていました。価値はイタリア・リラと同じでした。2001年 12月31日をもってユーロに移行しました。
マルタ・リラ: マルタの旧通貨で、1973年から2007年まで使用されていました。2007年 12月31日をもってユーロに移行しました。
キプロス・ポンド: キプロスの旧通貨で、1879年から2007年まで使用されていました。「キプロス・リラ」とも呼ばれます。2007年 12月31日をもってユーロに移行しました。

廃止されたリラ (その他)

トルコ・リラ: トルコの旧通貨で、1844年から2004年まで使用されていました。2004年 12月31日をもって事実上のデノミネーションが実施され、新トルコリラに移行しました。ただし、2005年末まで旧トルコリラも通用しました。
イスラエル・リラ: イスラエルの旧通貨で、1958年から1980年まで使用されていました。綴りは「lira」または「lirah (לירה)」、複数形は「lirot」または「liroth (לירות)」です。補助通貨は100プルターでした。「イスラエル・ポンド」とも呼ばれます。
トリポリ・リラ: イギリス占領下の旧リビアで、1943年から1951年まで使用されていました。
エリトリア・リラ: イタリア領エリトリアの旧通貨で、1885年から1921年まで使用されていました。
イタリア領東アフリカ・リラ: イタリア領東アフリカの旧通貨で、1938年から1941年まで使用されていました。
イタリア領ソマリランド・リラ: イタリア領ソマリランドの旧通貨で、1925年から1938年まで使用されていました。
イタリア王国リラ: イタリア王国の旧通貨で、1807年から1814年まで使用されていました。
ナポリ・リラ: ナポリ王国の旧通貨で、1812年から1813年まで使用されていました。