リレイヤー

『リレイヤー』（Relayer）は、プログレッシブ・ロックバンド、イエスが1974年に発表した8作目のアルバムです。

制作の経緯

前作『海洋地形学の物語』発表後、リック・ウェイクマンが脱退。後任としてヴァンゲリスを勧誘するも断られ、パトリック・モラーツが加入しました。アルバムの構想はウェイクマン在籍時から存在し、メンバーはリハーサルを開始していました。

アルバムの内容

アルバム構成は前々作『危機』と同様、A面に1曲、B面に2曲という構成。『海洋地形学の物語』がヒンドゥー教をテーマにしていたのに対し、本作はトルストイの小説『戦争と平和』をテーマとしています。

収録曲は3曲。「錯乱の扉」と「サウンド・チェイサー」は、従来のシンフォニックな要素が後退し、即興演奏が重視されています。テーマが「戦争」であるためか、演奏や音色も攻撃的な印象を与える部分が多く、スティーヴ・ハウによる「サウンド・チェイサー」でのギターソロは特に注目されています。また、モラーツが影響を受けたジャズやラテン音楽の要素も色濃く反映されています。

「錯乱の扉」の終盤部分は、「スーン」としてシングルカットされました。

評価

ウェイクマン脱退後初のアルバムであり、彼の持ち込んだシンフォニックな要素が薄れたこと、楽曲のメロディやハーモニーに無調的な感覚が多かったことから、発表当初は評価が分かれました。

収録曲

A面:
1. 錯乱の扉 - "The Gates of Delirium" (21:55)

B面:
1. サウンド・チェイサー - "Sound Chaser" (9:25)
2. トゥ・ビー・オーヴァー - "To Be Over" (9:08)

2003年のリマスター盤では、音質が向上し、以下のボーナストラックが追加されました。

スーン (シングル・エディット) - "Soon (Single version)"
サウンド・チェイサー (シングル・エディット) - "Sound Chaser (Single version)"
錯乱の扉 (スタジオ・ラン・スルー) - "The Gates of Delirium (Studio run-through)"

2014年にはリミックス盤が発売され、ステレオミックス、5.1chサラウンドミックスの他、別バージョンやライブ音源などが収録されています。

パーソネル

ジョン・アンダーソン – ボーカル、アコースティックギター、ピッコロ、パーカッション
スティーヴ・ハウ – ギター、エレクトリック・[[ギター]]、ペダル・スティール、エレクトリック・シタール、バッキング・ボーカル
クリス・スクワイア – ベース、バッキング・ボーカル
パトリック・モラーツ – キーボード、ピアノ、エレクトリックピアノ、ハモンドオルガン、ミニモーグ、メロトロン
アラン・ホワイト – ドラムス、パーカッション

本作は、イエスの音楽性を新たな方向に押し進めた作品として、現在では再評価されています。

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