リンボー (兵器)

リンボー（Limbo）

リンボーは、イギリス国内で開発された対潜迫撃砲であり、主に第二次世界大戦の戦後にイギリス海軍で使用されました。この兵器は、従来のスキッドをベースにして発展させたもので、設計段階では「迫撃砲D」または「迫撃砲Mk.10」として知られていました。最初は、単装の速射砲としての開発が進められていましたが、後に3連装式へと変更されました。

リンボーは、射程の計画段階では250から2,000ヤード（約230から1,830メートル）の範囲を見込んでいましたが、実際には380から1,000ヤード（350から910メートル）に修正されました。砲弾の飛距離は、砲身に設けられたガス抜き穴を調整することで設定することが可能です。また、リンボーには新型の170型ソナーが搭載されており、これは水中攻撃指揮用のソナーとして機能します。ソナーコントロール室は、通常艦のCIC（戦闘指揮所）近くに配置されており、ここから遠隔操作によりリンボーによる射撃が行われます。

波浪からの保護のため、リンボーは艦上の後部甲板に設置されており、前装式の構造を持ちながらも、自動装填機構が搭載されているため、効率的な装填が可能です。砲身を横方向に90度傾け、砲口部分に配置された弾薬庫から機力で装填されます。この自動装填機構のために、リンボーとその弾薬庫は艦幅のほぼ全体を占有することになります。そのため、リンボーを2基装備する際は互いに干渉しないように、前後にずらして取り付ける必要がありました。これにより、実際には艦の後部に一定の空間が必要となります。

1960年代から70年代にかけて、艦載ヘリコプターが新たな対潜兵器として普及するに伴い、後部甲板はヘリコプターの格納庫や発着甲板として再割り当てされるようになりました。その結果、新造艦へのリンボーの装備は行われず、既存の艦隊でもヘリコプター運用に対応するために、リンボーを2基から1基に削減する、または撤去する事例が相次ぎました。これにより、リンボーは1990年代までイギリス海軍で使用されていましたが、最終的にはその役割を終えることになりました。

主要諸元

• - 口径: 305 mm
• - 砲弾重量: 177 kg
• - 炸薬量: 94 kg
• - 射程: 366 〜 910 m
• - 沈降速度: 13.3 m/s
• - 装置重量: 25,000 kg

このように、リンボーは自動装填や射程調整が可能な点が特色の対潜迫撃砲であり、時代の変化に応じてその役割を拡大した軍事装備といえます。

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