リン酸水素二ナトリウム

リン酸二ナトリウムの概要

リン酸二ナトリウム（Disodium phosphate、DSP）は、化学式Na₂HPO₄で示される無機化合物の一種です。これは3種類のナトリウムを含むリン酸塩のうちの一つで、無水物と水和物の形態で存在します。具体的には2水和物、7水和物、8水和物、12水和物が知られていますが、すべてが水に溶ける白色の粉末です。無水物は特に吸湿性を持ち、周囲の水分を吸収する特性があります。

酸・塩基としての性質

リン酸水素二ナトリウムの水溶液は、pHが8.0から11.0の範囲であり、これは弱塩基に分類されることを示しています。化学式で表現すると、以下のような反応が行われます。

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{ ext{HPO}}_4^{2-} + ext{H}_2 ext{O} ⇄ { ext{H}}_2 ext{PO}_4^{-} + ext{OH}^{-}
$$

この反応からわかるように、リン酸水素二ナトリウムは水と反応することで、酸性度を調整する性質を持っています。

調製と反応

リン酸水素二ナトリウムは、リン酸を水酸化ナトリウムと中和させることで得ることができます。化学反応式で示すと、以下のようになります。

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ext{H}_3 ext{PO}_4 + 2 ext{NaOH} → ext{HNa}_2 ext{PO}_4 + 2 ext{H}_2 ext{O}
$$

さらに工業的には、リン酸水素カルシウムと硫酸水素ナトリウムを反応させることで合成されます。この過程では、リン酸二水素ナトリウムと硫酸カルシウムが生成されます。

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ext{CaHPO}_4 + ext{NaHSO}_4 → ext{NaH}_2 ext{PO}_4 + ext{CaSO}_4
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その後、得られたリン酸二水素ナトリウムを水酸化ナトリウムで部分中和することで、リン酸二ナトリウムが合成されます。

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ext{NaH}_2 ext{PO}_4 + ext{NaOH} → ext{HNa}_2 ext{PO}_4 + ext{H}_2 ext{O}
$$

利用用途

リン酸水素二ナトリウムは食品業界でも幅広く使用されており、特にリン酸ナトリウムと水の軟化剤の混合に利用されます。この化合物は食品のpHを調整するために重要な役割を果たします。例えば、コンデンスミルクの製造時に、牛乳が凝固しないように助ける効果があります。また、固化防止剤としても機能し、デザート製品（プリンやクリーム・オブ・ウィートなど）の調理時間を短縮するために使用されています。さらに、洗剤に加えることでカルシウムの固まるのを防ぎ、目詰まりを遅らせる効果もあります。

加えて、リン酸水素二ナトリウムは加熱されると脱水反応が起こり、二リン酸ナトリウムが生成されます。

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2 ext{HNa}_2 ext{PO}_4 → ext{Na}_4 ext{P}_2 ext{O}_7 + ext{H}_2 ext{O}
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また、この化合物は便秘の治療や、大腸内視鏡検査の前に腸をクリアにするための経口用洗浄剤としても利用されています。

まとめ

リン酸二ナトリウムは多くの用途があり、その特性によって食品や工業製品にとって非常に重要な成分となっています。環境にも優しい無機化合物として、今後もその役割が期待されます。

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