リヴィウ州

リヴィウ州（Lviv Oblast）

リヴィウ州は、ウクライナ西部に位置する州で、その州都はリヴィウ市です。この地域は、歴史的に中欧の要衝であり、カルパティア山脈への入口としての戦略的重要性から、多くの勢力による支配が繰り返されてきました。リヴィウ州は、ウクライナ語では「Львівська область」と表記され、ラテン文字転写では「L’vivs’ka oblast’」となります。日本語では、リヴィフ州、リビウ州、リボフ州などと表記されることもあります。

歴史

リヴィウ州の歴史は、その地理的な位置から、多くの変遷を経験してきました。かつてはモラヴィア王国やキエフ大公国、ポーランド王国などがこの地を統治しました。1200年頃から1340年まではハールィチ・ヴォルィーニ大公国として独立していましたが、その後、ポーランド・リトアニア連合の支配下に入りました（1340年〜1772年）。

1772年から1918年にかけては、オーストリア・ハンガリー帝国が統治しました。第一次世界大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が敗北すると、この地では西ウクライナ人民共和国が建国されましたが、ポーランド・ウクライナ戦争に敗れて短期間で消滅しました。その後、ウクライナ勢力は赤軍と合流し、ポーランド・ソビエト戦争を戦いましたが、再び敗北し、1920年からはポーランド領となりました（ポーランド第二共和国のルヴフ県の一部）。ポーランドによる統治は約20年間続きましたが、ウクライナ系住民の間では、ポーランド領であることに不満がありました。

1939年9月、独ソ不可侵条約の秘密議定書に基づき、ポーランドがドイツとソ連によって分割占領されると、リヴィウ州はソ連に編入され、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国領となりました。独ソ戦中の1941年から1944年にかけてはナチス・ドイツが占領しましたが、ソ連が第二次世界大戦に勝利したことで、再びソ連領となりました。

戦後、約10年にわたり、ウクライナ蜂起軍を中心とした激しい独立運動が展開され、一時は地域の大部分を独立派が掌握しました。しかし、ポーランド軍やソ連軍の軍事作戦と、ウクライナ人居住区に対する武力・政治的弾圧により、この独立運動は悲惨な結果に終わりました。その後、1960年代以降はソ連の安定した統治下に入りました。

1991年、ソビエト連邦の崩壊に伴い、ウクライナが独立し、リヴィウ州はその一部となりました。このような歴史的経緯から、この地域では反ロシア感情が強く、ロシア連邦や親ロシア勢力とのウクライナ紛争を受けて、リヴィウ州議会は2018年9月18日に、ロシア語による歌曲を公共の場で流したり、書籍を出版することを禁じる条例を可決しました。

地理

リヴィウ州の地形は多様であり、丘陵地帯から草原や森林まで存在します。豊かな自然環境が特徴です。

州の行政区画

リヴィウ州は29の区域で構成されており、20の区と9つの市町村に分けられます。

主要な地区

ソカリ地区
ゾーロチウ地区
（都市型集落）クラスネ (リヴィウ州ゾーロチウ地区)

人口

2001年のウクライナ国勢調査によると、リヴィウ州の総人口は2,626,500人でした。

都市人口: 1,558,700人（59%）
農村人口: 1,067,800人（41%）
男性: 1,245,100人（47%）
女性: 1,381,400人（53%）

リヴィウ州は、歴史、文化、地理的な多様性に富んだ地域であり、ウクライナの中でも重要な役割を果たしています。

参考文献

伊東孝之, 井内敏夫, 中井和夫編 『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 (世界各国史; 20)－東京: 山川出版社, 1998年. ISBN 9784634415003
黒川祐次著 『物語ウクライナの歴史 : ヨーロッパ最後の大国』 (中公新書; 1655)－東京 : 中央公論新社, 2002年. ISBN 4121016556
Історія міст і сіл Української РСР: Львівська область. — Київ: УРЕ АН УРСР, 1968.（ウクライナ語）

外部リンク

* リヴィウ州合同庁の公式サイト（ウクライナ語）

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