リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

ジョージ・ハリスン『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』

『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』（Living in the Material World）は、1973年6月22日に発表されたジョージ・ハリスンのソロアルバムです。前作『オール・シングス・マスト・パス』から約2年、彼の精神世界と音楽性がより深く融合した作品として、世界中で高い評価を受けました。

アルバム概要

本作は、ビルボード・アルバム・チャートで5週連続1位を獲得し、1973年度の年間ランキングでも上位にランクインしました。シングルカットされた「ギヴ・ミー・ラヴ」も全米1位を記録する大ヒットとなり、ジョージ・ハリスンの代表作の一つとして広く知られています。

制作背景

前作『オール・シングス・マスト・パス』の大成功後、ジョージ・ハリスンは様々な活動に忙殺されました。バングラデシュ難民救済コンサートの開催や、ラヴィ・シャンカルとの交流などを通して、彼の精神性はより深まっていきます。そうした経験が、本作の楽曲に色濃く反映されています。

楽曲について

本作に収録された楽曲は、「トライ・サム・バイ・サム」を除き、すべて『オール・シングス・マスト・パス』発表後の1971年から1972年にかけて制作されました。バガヴァッド・ギーターの一節を取り入れた楽曲など、神への思いを綴った曲が多いのが特徴です。

収録曲は以下の通りです。

ギヴ・ミー・ラヴ
スー・ミー、スー・ユー・ブルース
ザ・ライト・ザット・ハッド・ライテッド・ザ・ワールド
ドント・レット･ミー・ウェイト・トゥー・ロング
フー・キャン・シー・イット
リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド
ザ・ロード・ラヴス・ザ・ワン
ビー・ヒア・ナウ
トライ・サム・バイ・サム
ザ・デイ・ザ・ワールド・ゲッツ・ラウンド
* ザット・イズ・オール

レコーディング

当初、プロデューサーにはフィル・スペクターが起用されましたが、彼の不安定な行動により、最終的にジョージ・ハリスン自身がプロデュースを手がけることになりました。レコーディングは、ハリスンの自宅スタジオであるFPSHOTや、ロンドンのアップル・スタジオで行われました。

クラウス・フォアマン、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンスといったミュージシャンがレコーディングに参加し、ジョージ・ハリスンの精神世界を表現する音楽を創り上げました。

アートワーク

アルバムのアートワークは、トム・ウィルクスとクレイグ・バウンが担当しました。ジャケットには、ヒンドゥー教のメダルを持ったハリスンの手のキルリアン写真が使用されています。また、内ジャケットには、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』をパロディにした写真が掲載され、話題を呼びました。

リイシュー

2006年と2014年には、リマスター盤が発売されました。ボーナストラックの追加や、DVDの付属など、様々な特典が追加されています。特に2014年盤は、SHM-CD仕様で発売され、高音質で楽しむことができます。

まとめ

『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』は、ジョージ・ハリスンの音楽性と精神性が深く結びついた傑作です。彼の内面世界を垣間見ることができる、聴きごたえのあるアルバムと言えるでしょう。

もう一度検索