リーチスタッカー

リーチスタッカーとは

リーチスタッカーは、コンテナターミナルや物流倉庫などで活躍する特殊な荷役機械です。大型の輸送コンテナを吊り上げ、移動、積み重ね、車両への積み降ろしを効率的に行います。1990年頃から海外で普及し始め、その高い作業性と効率性から、従来の大型フォークリフトやトップリフターに代わり、コンテナ荷役の主役となりつつあります。

日本での普及

日本では2000年以降、複数の輸送機器メーカーがリーチスタッカーの製造を開始しました。当初は、労働安全衛生法における規制が明確でなかったため、移動式クレーンの一種として扱われ、運転には実技試験を伴う移動式クレーン運転士免許が必要でした。しかし、現在はショベルローダー等運転技能講習の修了者でも運転が可能となり、需要が増大しています。

構造と特徴

リーチスタッカーは、ISO規格の海上コンテナの運搬に特化して開発された機械です。フォークリフトやトップリフターのような垂直伸縮マストは持たず、油圧式クレーン車のような起伏・伸縮可能なブームを備えています。ブーム先端には、コンテナ上部のツイストロックホールと嵌合するスプレッダー装置が取り付けられています。

クレーン車との類似点と相違点

外見はクレーン車、特に油圧式ホイールクレーンに似ていますが、リーチスタッカーのブームは起伏のみで水平旋回はしません。これにより、運転席前方に垂直マストがなく、前方視界が非常に良好で、作業性と安全性が高いという特徴があります。

マストの違い

リーチスタッカーの伸縮ブームは、フォークリフトやトップリフターのマストよりも軽量なため、同等の機体重量であれば、リーチスタッカーの方が許容荷重が大きくなります。

スプレッダーの可動範囲

トップリフターもスプレッダーを使用しますが、上下方向のみの可動に対し、リーチスタッカーのスプレッダーはブームの伸縮と起伏によって、上下・前後に移動させることができます。これにより、車両を動かすことなくコンテナの位置を調整でき、障害物を避けてコンテナを吊り上げることも可能です。

その他の利点

リーチスタッカーは、機体から離してコンテナを吊り上げることが可能なため、フォークリフトやトップリフターでは難しい、コンテナからはみ出した貨物の荷役にも対応できます。また、スプレッダーは運転席からの操作で幅を調整でき、20ftから40ftのISOコンテナに対応可能です。水平回転機能も備え、コンテナの向きに関わらず吊り上げることができます。

多様な用途

日本では一般的ではありませんが、海外ではスプレッダーの代わりに、フォーク、バルクバケット、クレーン用フック、ゴンドラなど様々なアタッチメントを取り付け、建設工事や重量物の組み立て、映画撮影、鉄道車両工場など、多岐にわたる分野で活用されています。中には100トンを超える許容荷重を持つ機種も存在します。

安全装置

リーチスタッカーには、トップリフターと同様のツイストロックピンインターロック装置や、スプレッダー位置と荷重を表示する装置が搭載されています。

過負荷防止装置

ブームの長さや起伏角度によって許容荷重が変化するため、過負荷による前方転倒や横転を防ぐため、過負荷防止装置（モーメントリミッター）が搭載されています。この装置は、安定度限界に達すると自動的に機械を停止させ、警報を発し、スプレッダーの垂直降下以外の操作を遮断します。

主なメーカー

三菱ロジスネクスト

関連項目

ガントリークレーン
トランスファークレーン
フォークリフト
トップリフター
ストラドルキャリア

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