リー・ハスキンス

1983年 11月29日、イギリスのブリストルに生を受けたリー・ハスキンスは、元IBF世界バンタム級チャンピオンとして知られるプロボクサーです。フライ級からキャリアをスタートさせ、バンタム級に至る複数の階級で、イギリス国内、コモンウェルス、ヨーロッパといった様々な地域タイトルを獲得し、キャリアを積み上げました。

プロキャリア初期と地域王座獲得

ハスキンスのプロデビュー戦は2003年3月6日、地元ブリストルで行われました。フライ級4回戦でアンカー・ミアを初回KOに退け、白星でプロのキャリアを始めます。その後、順調にキャリアを重ね、2004年12月にはデルロイ・スペンサーに勝利し、BBBofCイングランドフライ級王座を獲得しました。さらに2006年2月にはアンソニー・マシアスをTKOで破り、コモンウェルスイギリス連邦フライ級王座を手中に収め、同年4月には元世界王者ゾリレ・ムビティ相手にこの王座の初防衛に成功しています。キャリア初黒星は2006年10月、コモンウェルスバンタム級王座挑戦の際にチフィワ・ムンヤイに喫したTKO負けでした。これは自身初のタイトル2階級制覇への挑戦でもありました。2007年にはBBBofC英国バンタム級王座に挑むも、王座獲得には至りませんでした。

スーパーフライ級とバンタム級での戴冠

階級をスーパーフライ級に上げたハスキンスは、2008年11月にアンディ・ベルを判定で下し、BBBofC英国スーパーフライ級王座を獲得。この王座はロス・バーキンショー相手に初防衛、さらに2009年12月にはコモンウェルスイギリス連邦スーパーフライ級王者ドン・ブロードハーストとの王座統一戦を制し、2度目の防衛と共にコモンウェルス王座も獲得しました。その後、再びバンタム級に主戦場を移し、2011年7月にはWBAインターコンチネンタルバンタム級王座、2012年7月にはEBU欧州バンタム級王座を獲得するなど、着実に世界戦線への足がかりを築いていきます。しかし、2012年12月にはシュテファーヌ・ジャモエに敗れ、EBU王座を失いました。2013年にはマーティン・ウォードに勝利し、BBBofC英国バンタム級王座を獲得。これは自身にとって同王座の2階級制覇となります。

IBF世界王座の獲得とその防衛、そして波乱の結末

ハスキンスのキャリアにおける最大のハイライトは、2015年6月に日本の岩佐亮佑を相手に獲得したIBF世界バンタム級暫定王座です。この試合でのTKO勝利により、遂に世界王座に手が届きました。さらに同年11月には、正規王者ランディ・カバジェロとの王座統一戦が予定されていましたが、カバジェロの著しい体重超過により試合は中止。IBFはカバジェロから王座を剥奪し、異例の形でハスキンスを正規王者に認定しました。

正規王者となったハスキンスは、2016年5月にイバン・モラレスを判定で下し初防衛に成功。同年9月には、元IBF王者で指名挑戦者でもあったスチュアート・ホールとの再戦（過去に対戦経験あり）に臨み、これも判定勝利で2度目の防衛を果たしました。2016年12月には日本の大森将平を相手に3度目の防衛戦が予定されていましたが、ハスキンスの負傷により中止となっています。

王座は2017年6月10日、ライアン・バーネットとの一戦で失われました。この試合はハスキンスが判定で敗れ王座を陥落しましたが、試合後に一部のジャッジの採点に問題があることが指摘され、大きな議論を呼びました。特に、バーネットを支持した2名のジャッジとハスキンスを支持した1名のジャッジの間で、ラウンドごとの評価に著しい乖離が見られ、IBFが採点ミスを認める事態に発展しました。この敗戦により、リー・ハスキンスのIBF世界バンタム級王者としてのキャリアは幕を閉じました。

フライ級でデビューしてからバンタム級で世界王者となるまで、多くの地域タイトル戦線を経験し、世界王座獲得後も防衛戦や採点問題など、波乱の多いボクシングキャリアを歩んだ選手です。

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