ルアーヴル (競走馬)

ルアーヴル

ルアーヴル（Le Havre）は、2006年 2月4日にフランスで生まれたサラブレッド競走馬です。2009年のジョッケクルブ賞（フランスダービー）を制し、現役引退後はフランスで種牡馬として供用され、多くの優れた産駒、特に歴史的な牝馬を輩出しました。2022年 3月3日にこの世を去りました。

競走成績

2008年の2歳シーズンに、ルアーヴルはクリストフ・ルメール騎手とのコンビでデビューを飾ると、初戦を勝利で飾りました。続くレースも快勝し、デビューから無傷の2連勝としました。その後、G1クリテリウム・アンテルナシオナルに駒を進めましたが、このレースでは当時日本で短期免許を取得していたルメール騎手に代わり、イオリッツ・メンディザバル騎手が騎乗。期待の1番人気に推されましたが、結果は7着に敗れ、このレースを最後に2歳シーズンを終えました。

明けて2009年の3歳シーズンは、4月10日の準重賞ジェベル賞で始動。前年のG1勝ち馬を相手に、僅差ながら勝利を収め、クラシック戦線での活躍に期待がかかりました。フランスの1000ギニーに相当するプール・デッセ・デ・プーランでは5番人気に支持され、レースでは一旦先頭に立つ場面もありましたが、ゴール前でシルヴァーフロストに差し切られ、2馬身差の2着に惜敗しました。しかし、続く6月7日のジョッケクルブ賞では、前走で敗れたことや距離への懸念からか、7番人気と評価を落としていました。レース本番では、落ち着いて馬群の中団を進み、直線で馬場の真ん中から力強く抜け出すと、後続の追撃を振り切って優勝。見事フランスダービー馬の栄誉に輝きました。このジョッケクルブ賞制覇は、父ノヴェールがかつてプール・デッセ・デ・プーランで1位入線しながらも禁止薬物検出により失格となった因縁のクラシックレースであり、父の無念を晴らす勝利としても大きな注目を集めました。

クラシック制覇の栄光に浸る間もなく、ルアーヴルにアクシデントが発生しました。腱の損傷が発覚し、秋の大目標であったG1ジャック・ル・マロワ賞への出走を断念せざるを得なくなりました。結局、この怪我が原因となり、短い現役生活を終え、7月には引退が報じられました。

種牡馬として

競走馬を引退したルアーヴルは、生まれ故郷であるフランスのノルマンディー地方にあるHaras de la Cauvinièreで種牡馬としての第二のキャリアをスタートさせました。2011年1月12日には最初の産駒が誕生。初年度の種付け料は5000ユーロと比較的手頃な設定であり、当初の期待値はそれほど高いものではなかったかもしれません。しかし、2013年にデビューした初年度産駒の中から、歴史に残る名牝が登場しました。アヴニールセルタンが、2014年にフランスの牝馬クラシック二冠であるプール・デッセ・デ・プーリッシュ（仏1000ギニー）とディアヌ賞（仏オークス）をデビューから無敗で制覇。この偉業により、ルアーヴルの種牡馬としての評価は一変しました。さらに、2016年には3世代目の産駒であるラクレソニエールが、こちらもデビュー以来無敗の8連勝でプール・デッセ・デ・プーリッシュとディアヌ賞を制し、史上稀に見る父として二頭の無敗牝馬二冠馬を送り出すという快挙を達成しました。これらの活躍により、ルアーヴルはフランスを代表するトップサイアーとしての地位を確固たるものにしました。

ルアーヴルの産駒は国内外の様々な舞台で活躍しています。

主な直仔の活躍馬
アヴニールセルタン: 2014年プール・デッセ・デ・プーリッシュ（仏G1）、ディアヌ賞（仏G1）
ラクレソニエール: 2016年プール・デッセ・デ・プーリッシュ（仏G1）、ディアヌ賞（仏G1）
スエドア: 2017年シャドウェルターフマイルステークス（米G1）
プールヴィル: 2019年フィリーズレビュー（日G2）
ヴィラマリナ: 2019年オペラ賞（仏G1）
ワンダフルトゥナイト: 2020年ロワイヤリュー賞（仏G1）、ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークス（英G1）など

また、母の父としても優秀な繁殖成績を残しています。

母父としての主な活躍馬
パイルドライヴァー: 2021年コロネーションカップ（英G1）、2022年キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス（英G1）など
デゼル: 2021年阪神牝馬ステークス（日G2）
* セリフォス: 2021年新潟2歳ステークス（日G3）、デイリー杯2歳ステークス（日G2）、2022年富士ステークス（日G2）、マイルチャンピオンシップ（日G1）など

晩年

2022年2月、健康状態の悪化を理由に、ルアーヴルは種牡馬を引退することが発表されました。そして、その翌月となる2022年 3月3日、16歳で亡くなったことが、繋養先であるSumbeの公式Twitterアカウントを通じて明らかにされました。

母系の近親には、イギリスのG1スプリントカップなどを制した名スプリンター、Polar Falconがいることなどが知られています。

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