ワンダフルトゥナイト

ワンダフルトゥナイト

ワンダフルトゥナイト（Wonderful Tonight）は、フランスで誕生し、主にイギリスで調教を受けた競走馬です。彼女は優れたスタミナと底力を武器に、特に湿った馬場や重馬場での強さを発揮し、中長距離路線で活躍しました。短い競走キャリアながら、G1を含む数々の重賞タイトルを獲得し、強い印象を残した名牝です。

競走生活の始まり（2歳・2019年）

ワンダフルトゥナイトのデビュー戦は、2019年10月25日にイギリスのドンカスター競馬場で行われた未勝利戦（芝8ハロン）でした。初陣は3着という結果でしたが、次走となる11月22日、フランスのサンクルー競馬場での未勝利戦（芝2000m）で待望の初勝利を挙げ、将来を期待させる走りを見せました。

飛躍の3歳シーズン（2020年）

3歳となった2020年、ワンダフルトゥナイトは6月13日のアビンドンフィリーズステークス（リステッド）でシーズンを始動しましたが、このレースは4着に終わりました。続く7月23日のティベルヴィル賞（リステッド）でも2着と惜敗しましたが、8月16日にドーヴィル競馬場で行われたミネルヴァ賞（G3）に出走すると、後続に差をつけて快勝。これが彼女にとってキャリア初の重賞制覇となりました。

最高峰のG1競走への挑戦は、9月13日のヴェルメイユ賞でした。この強豪が集まる一戦では、勝ち馬タルナワから離された5着という結果に終わりました。

しかし、ここから快進撃が始まります。10月3日、パリロンシャン競馬場で行われたロワイヤリュー賞（G1）に出走。レースでは道中を先行集団で進み、直線で素晴らしい加速を見せて先頭に躍り出ると、後続を寄せ付けずに1馬身1/4差をつけて勝利。待望のG1初制覇を達成しました。さらに勢いは止まらず、わずか2週間後の10月17日、アスコット競馬場で行われたブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークス（G1）に参戦。ここでも先行策から早めにスパートをかけ、ライバルのダムマリオットに2馬身半もの差をつける圧勝劇を披露。見事G1競走を連勝し、世界トップクラスの実力を証明しました。

4歳での活躍と突然の引退（2021年）

2021年、4歳を迎えたワンダフルトゥナイトは、6月19日のハードウィックステークス（G2）で戦列に復帰しました。休養明けを感じさせない力強い走りで、中団から抜け出すと後続に1馬身半差をつけて快勝。連勝を4に伸ばしました。その後、陣営は競馬の祭典キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス（G1）への出走を検討し登録も行いましたが、レース当日の馬場状態が彼女にとって最適ではないと判断され、残念ながら出走を回避することになりました。

次走となった7月31日のリリーラントリーステークス（G2）では、先行集団から直線で先頭に立つと、後方から追い上げてきた馬を寄せ付けず、2馬身差をつけて勝利を収めました。しかし、続く8月19日のヨークシャーオークス（G1）では、同世代の女王スノーフォールとの対決となり、結果は4着。このレースで、続いていた連勝記録が途絶えることとなりました。

さらなる活躍が期待されていましたが、フランスのフォワ賞（G1）への出走を目前に控えたレースの2日前に、左前肢の球節骨折が判明するという不運に見舞われます。これにより、彼女の現役生活は突然幕を閉じることとなりました。ワンダフルトゥナイトは競走馬を引退し、繁殖牝馬として新たな道を歩むことになりました。

重馬場での強烈なパフォーマンスでファンを魅了したワンダフルトゥナイト。G1を2勝、G2を2勝、G3を1勝という輝かしい戦績は、短いキャリアながらもその能力の高さを示しています。

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