ルイス・ボータ

ルイス・ボータ：南アフリカ連邦初代首相、激動の生涯

ルイス・ボータ（Louis Botha, 1862年9月27日 - 1919年8月27日）は、南アフリカの政治家であり、軍人です。アフリカーナーとして、南アフリカ連邦の初代首相を務めました。ボーア戦争での活躍と、その後の南アフリカ統一に尽力したことで知られています。

ボーア戦争での活躍

1862年、トランスヴァール共和国（現在のクワズールー・ナタール州）で生まれたボータは、農業で成功を収め、広大な農地の地主となりました。1897年にトランスヴァール議会の議員となり、政界に進出します。

1899年にボーア戦争が勃発すると、ボータは軍人として頭角を現しました。コレンソの戦いやスピオン・コップの戦いなどでイギリス軍を破り、その名を轟かせます。最高司令官ピート・ジュベールの下で軍を指揮し、ジュベールの死後、トランスヴァールの軍司令官としてイギリス軍と戦いました。

プレトリアが陥落した後も、ボータはコース・ド・ラ・レイやクリスティアーン・デ・ヴェト、ヤン・スマッツらと共にゲリラ戦術を展開し、イギリス軍を苦しめました。1899年11月15日には、イギリス軍の装甲列車を攻撃し、従軍記者として同行していたウィンストン・チャーチルを捕虜にするという功績も挙げています。

1902年、イギリスから降伏勧告と講和条約の提案がなされると、ボータはこれに賛成し、フェリーニヒング条約に調印しました。これにより、トランスヴァールとオレンジ自由国の独立は失われ、イギリスの植民地となりました。

南アフリカの統一

ボーア戦争後、ケープ植民地総督のアルフレッド・ミルナーらは、両植民地のイギリス化政策を推進しました。これに対し、ボータとスマッツは1905年にヘット・フォルク（国民党）を結成し、アフリカーナーの団結を訴えました。オレンジ川植民地で同様の活動をしていたヘルツォークとも協力し、1906年には両植民地での議会開設を勝ち取ります。

1907年の選挙でヘット・フォルクが勝利し、ボータは1907年2月4日にトランスヴァール首相に就任しました。首相として、ボータはスマッツと共に南アフリカの4つの植民地の合同を提案し、1908年の統一会議で基本合意を得ました。そして、1910年5月31日に南アフリカ連邦が成立すると、ボータが初代首相に就任しました。

連邦首相として

統一後、ボータはスマッツと南アフリカ党を結成し、党首となりました。しかし、イギリスや鉱山主たちに配慮した政治を行ったため、アフリカーナーの勢力拡大を目指すヘルツォークと対立し、1914年にヘルツォークは国民党を結成して内閣を離脱しました。

第一次世界大戦が勃発すると、ボータは参戦を決定し、兵力を派遣しました。また、ドイツ領南西アフリカの占領を計画しましたが、これに不満を持つアフリカーナーたちが反乱を起こしたため、これを鎮圧しました。その後、南西アフリカは南アフリカの支配下に入りました。

1919年のヴェルサイユ条約においては、対中央同盟国の条件が厳しすぎると主張しましたが、最終的には条約に調印しました。同年8月27日、ボータは心不全のためプレトリアで亡くなりました。

ルイス・ボータは、ボーア戦争という激動の時代を生き抜き、南アフリカの統一に貢献した政治家でした。その功績は、今日でも高く評価されています。

もう一度検索