ルイーズ・エリザベート・ド・フランス

ルイーズ・エリザベート・ド・フランス（Louise Élisabeth de France）は、1727年8月14日、ブルボン朝フランス国王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの間に第一子、つまり王女として、ヴェルサイユ宮殿で生を受けました。彼女には双子の妹アンリエットがおり、誕生直後から「マダム・プルミエール」という名称で知られましたが、父王からは「バベット」という愛称で呼ばれていました。

1739年2月、彼女は父王の従弟にあたるスペイン王子フェリペ（スペイン国王フェリペ5世と王妃イサベルの三男）との縁組が公にされます。これは、カトリック勢力の政治的および軍事的な連携を強化することを目的とした、フランスとスペイン間の伝統的な政略結婚でした。同年10月、ルイーズ・エリザベートはヴェルサイユを後にし、アルカラ・デ・エナーレスにおいてフェリペとの婚礼を挙げました。

しかし、スペイン宮廷での夫との結婚生活は満たされないものだったと言われています。フランス宮廷と比較して、スペイン宮廷はより格式高く厳格な雰囲気であり、ルイーズ・エリザベート自身は義母であるイサベルに意のままに操られているかのように感じていました。彼女は日中多くの時間を人形遊びに費やし、14歳で出産した長女マリア・イザベラに対しては過度に可愛がりました。自身の不幸な境遇について、彼女は書簡で父王に訴えたとされています。一方で、夫フェリペの妹であるマリア・テレサは、1745年にルイーズ・エリザベートの弟であるルイ・フェルディナン王太子のもとへ輿入れしました。このような両王家による二重の婚姻関係は、当時のヨーロッパ王室では特段珍しいことではありませんでした。

1748年、ルイーズ・エリザベートは不幸なスペインでの日々から抜け出す機会を得ます。この年締結されたエクス・ラ・シャペル条約によってオーストリア継承戦争が終結を迎え、ハプスブルク家のマリア・テレジアは、夫フランツの神聖ローマ皇帝位を認めさせる交換条件として、パルマ・ピアチェンツァ・グアスタラの公爵位を、かつての仇敵であったフェリペ5世へ譲渡することに同意したのです。フランス王ルイ15世の働きかけによって、このパルマ公位はルイーズ・エリザベートの夫フェリペが領有するところとなりました。同年12月、ルイーズ・エリザベートはパルマを経てヴェルサイユ宮殿へ赴き、父王に謝意を表します。この折に、彼女は父の寵愛を受けた女性、ポンパドール夫人と面識を得ました。父の寵姫全てに反感を抱いていた弟妹たちとは異なり、ルイーズ・エリザベートはポンパドール夫人に対して好意的な感情を抱いたと伝えられています。1749年にパルマへ帰還後、彼女はフランス宮廷の洗練された儀礼や料理などをパルマ公国へ積極的に導入しました。

1752年には、双子の妹アンリエットが死去したことから、再びフランスを訪問し、サンドニ修道院に眠る妹のもとへ墓参を行います。当初は数週間の滞在を予定していたものの、結果として一年余りをヴェルサイユで過ごすことになりました。

ルイーズ・エリザベートは、かつて対立したマリア・テレジアと連携を図り、長女マリア・イザベラをオーストリア大公ヨーゼフ（後の神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世）のもとへ嫁がせることとなります。

1759年、ヴェルサイユに滞在していたルイーズ・エリザベートは、天然痘に罹り、同年12月6日に急な病状悪化により帰らぬ人となりました。彼女はサン・ドニ修道院に、妹アンリエットの隣に葬られましたが、フランス革命の最中に二人の墓は破壊されてしまったとされています。

子女

マリア・イザベラ（1741年 - 1763年） - オーストリア大公ヨーゼフ妃
フェルディナンド（1751年 - 1802年） - パルマ公、妃はヨーゼフの妹マリア・アマーリア
* マリア・ルイーザ（1751年 - 1819年） - スペイン王カルロス4世妃

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