ルスラン・ハズブラートフ

ルスラン・イムラノヴィチ・ハズブラートフの伝記

ルスラン・イムラノヴィチ・ハズブラートフは、1942年11月22日、チェチェン・イングーシ自治共和国の首都グローズヌィに生まれた。彼はロシアの政治家としての活動や経済学の知識を活かし、エリツィン政権のもとで複雑な政治状況を生き抜いた人物である。特に、彼はロシア最高会議の議長として知られ、ソ連崩壊という歴史的な転換期に関与した。

幼少期と教育

ハズブラートフは、彼の家族も含め1944年にスターリンによるチェチェン人の強制移住の影響を受け、カザフスタンに移住することを余儀なくされた。厳しい環境の中で、彼は14歳から働き始め、労働の傍らで夜間学校へ通うという日々を送った。1960年にはカザフ大学の経済学部に入学。その後、モスクワ大学法学部に転校し、1967年に卒業。彼はこの間にソ連共産党に加入し、1970年に経済学博士号を取得した。

政治の道

政治家としてのキャリアは1970年に始まった。彼はコムソモール中央委員会で働いた後、ソ連科学アカデミーなどで研究活動を続ける。1987年から彼はエリツィンと行動を共にし、1990年にはロシア連邦共和国の人民代議員に選ばれる。そして、同年6月に最高会議の第一副議長に選出され、エリツィンが議会や少数民族の支持を得るために彼を選んだ。1991年には最高会議の議長に就任し、彼はソ連8月クーデターに対してエリツィンらと共に立ち向かうこととなる。彼はこの年に共産党を離党している。

エリツィン政権内での立場

ソ連崩壊後、ハズブラートフはエリツィン政権において次第に反エリツィン的な立場に移行していく。彼は経済改革に関してエリツィン側近たちと対立し、急進的な改革派を「ピンクのパンツを履いた坊やたち」と揶揄した。その後、彼は旧共産党の保守派と接触し、エリツィン政権の方針に反対する声を上げるようになっていく。

モスクワ騒乱事件

1992年6月、ハズブラートフは複数の中道派と共に政治ブロック「市民同盟」を結成し、エリツィン政権の急進改革派に挑む立場を取った。1993年9月、彼は「大統領は当てにできない。どうしようもないどん百姓だ」という発言を通じてエリツィンとの対立が決定的となる。これを受けて、エリツィンは現行憲法を停止し、議会を解散するという強硬手段に出た。ハズブラートフは最高会議において緊急会議を召集し、反エリツィンの立場を強化したものの、10月4日にモスクワの軍事行動により抵抗は失敗に終わり、彼は逮捕されることとなった。

改悛と晩年

その後、ハズブラートフは1994年に恩赦で釈放され、チェチェンに戻った。彼は1995年にチェチェンのドゥダーエフ大統領に対して退陣を求め、再び政治の舞台に立つこととなる。2023年1月3日に彼は80歳で生涯を閉じたが、その政治キャリアはロシアの歴史の中で大きな影響を持ち続けている。

ハズブラートフの人生は、政党の内部抗争や国家の重要な局面に関与した点でロシア政治の変遷を象徴するものであり、彼の足跡は今後も研究の対象となるだろう。

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