コムソモール

コムソモールとは

コムソモール（ロシア語: Комсомол）は、マルクス・レーニン主義政党、特に共産党の青年組織として、ソビエト連邦において重要な役割を果たしました。共産主義青年団とも呼ばれ、15歳から35歳までの若者が対象とされました。この組織は、党の路線を学習し、学校や労働組合の青年部で党の政策を宣伝するだけでなく、ピオネール（共産党少年団）の指導も行いました。

活動内容

コムソモールの活動は多岐にわたり、その一つとして、党の政策を推進するためのボランティア活動がありました。しかし、その活動は、時に過激な側面を見せることもありました。例えば、1930年代のスターリンによるクラーク撲滅運動では、コムソモールは富農（クラーク）の逮捕や強制収容所への送致に関与し、多くの農民が犠牲となりました。

コムソモールは、家族への愛情よりも共産主義革命への忠誠心を優先させ、親や教師の中に紛れ込む「階級の敵」を摘発することを義務付けられました。大学や学校では、反革命派を裁く模擬裁判が頻繁に開かれました。当時のソ連の若者にとって、コムソモールは社会貢献の唯一の手段であり、その活動は輝かしく魅力的なものとされていました。コムソモールで幹部を務めた者は、将来、マルクス・レーニン主義党の幹部候補となることが多く、組織内でのキャリアパスも整備されていました。

コムソモールの機関誌は『コムソモリスカヤ・プラウダ』で、若者たちへの情報伝達やプロパガンダ活動に利用されました。

クラーク撲滅運動における役割

スターリンが主導した農業集団化に伴うクラーク撲滅運動において、コムソモールはピオネールと共に、富農（クラーク）と認定された農民の逮捕や財産没収の先兵として活動しました。運動に非協力的な貧農や中農は、不良による脅迫や誹謗中傷に晒され、子供たちは学校から排除されました。コルホーズ財産保全法が発効すると、コムソモールは穀物を徹底的に徴収し、農民を虐待しました。この運動は、大飢饉（ホロドモール）の間も継続され、多くの犠牲者を出しました。

この運動を主導したコムソモールの世代は、ロシア内戦に参加するには幼すぎた世代で、「革命」に対してロマンチックなイメージを抱いていました。彼らは、ブルジョワ的な富と娯楽を徹底的に拒否し、個人の幸福を追求することを恥としました。そのため、私有財産を共有するコミューンが形成されたり、実家の財産を没収して党に報告するなど、極端な行動が取られました。

奉仕活動

コムソモールは、共産党を支援する活動に加えて、労働現場での奉仕活動も行いました。特に、シベリアのバイカル・アムール鉄道（BAM）の建設では、コムソモールを中心とした「BAM突撃隊」が組織され、全国から集められた学生たちが労働に従事しました。これらの活動は、プラウダの一面を飾るなど、大々的に報道されました。

ソ連崩壊後の動き

ソビエト連邦の解体後、コムソモールはロシア連邦共産党の指導下に移り、ロシア連邦共産主義青年同盟に改組されました。機関誌であった『コムソモリスカヤ・プラウダ』は一般紙化されましたが、旧ソ連時代のデザインを残しています。

2005年には、ロシアでナーシという青少年組織が設立され、コムソモールの運営様式を模倣しています。また、ベラルーシでもコムソモールにならった「ベラルーシ共和国青年団」が設立されています。

各国の関連団体

コムソモールは、世界各国の共産主義青年組織に影響を与え、類似の組織が設立されました。主な団体として、以下が挙げられます。

世界民主[[青年連盟]]
日本民主[[青年同盟]]（日本共産党）
中国[[共産主義青年団]]（中国共産党）
社会主義愛国青年同盟（朝鮮労働党）
自由ドイツ青年団（ドイツ社会主義統一党）
ホーチミン共産青年同盟（ベトナム共産党）

参考文献

ロバート・コンクエスト著、白石治朗訳『悲しみの収穫 ウクライナ大飢饉－スターリンの農業集団化と飢饉テロ－』東京：恵雅堂出版、2007年
Snyder, Timothy. (2010). Bloodlands: Europe Between Hitler and Stalin. London: The Bodley Head.
邦訳：ティモシー・スナイダー、布施由紀子訳『ブラッドランド：ヒトラーとスターリン　大虐殺の真実（上・下）』（2015）

関連項目

ピオネール
クラーク撲滅運動
ホロドモール
ユナルミヤ

外部リンク

ロシア連邦共産主義青年同盟公式サイト（ロシア語）
* ウィキメディア・コモンズには、コムソモールに関するメディアがあります。

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