ルテイン

ルテインとは

ルテインは、植物によって合成される黄色い色素、キサントフィルの一種で、カロテノイドの一種です。ラテン語の「luteus（黄色）」に由来し、その名の通り黄色を呈します。自然界には600種類以上のカロテノイドが存在しますが、ルテインはそのうちの一つです。

ルテインの存在

ルテインは、緑黄色野菜、特にホウレンソウやケールなどの緑色の葉野菜に豊富に含まれています。また、卵黄や動物性脂肪にも存在します。ヒトの体内では、主に目の黄斑部や水晶体、皮膚に多く分布しており、特に黄斑部にはゼアキサンチンと共に高濃度で存在します。黄斑という名前は、これらの色素が豊富に存在することに由来しています。

体内では、ルテインはタンパク質と結合した状態で存在し、構造を変化させることなく機能します。ルテインの分子構造は、不飽和二重結合と単結合が交互に連なったポリエン鎖を持ち、この構造が青色光を吸収する性質を持っています。しかし、このポリエン鎖は光や熱、酸によって酸化分解されやすいという性質も持っています。また、脂溶性であるため、小腸で吸収されるためには食事中に脂肪分が含まれている必要があります。

植物中では、ルテインは脂肪酸と結合したエステルとして存在しています。サプリメントとして販売されているルテインには、このエステル型と、エステルが分解された遊離型の2種類があります。

ルテインの役割

ルテインの主な役割は、目の健康を維持することです。黄斑部に存在するルテインは、青色光を吸収することで、光による目のストレスを軽減します。また、酸化ストレスから細胞を保護する抗酸化作用も持っています。加齢などによって黄斑色素が減少すると、目の機能が低下する可能性があります。ヒトは体内でカロテノイドを合成できないため、食事から継続的に摂取する必要があります。健康な人であれば、食事から多く摂取することで、黄斑色素濃度の上昇が期待できます。

ルテインの研究

ルテインと目の病気に関する研究は多数行われていますが、結果は必ずしも一貫していません。横断研究や後ろ向きコホート研究では、食事や血液、網膜中のルテインとゼアキサンチンの濃度が高いと、加齢黄斑変性症の発症が少ないという関連性が示唆されています。しかし、前向きコホート研究では、ルテインとゼアキサンチンの摂取と加齢黄斑変性症のリスクとの間には関連性が見られないという報告もあります。

現在の科学的エビデンスでは、果物や野菜から1日に少なくとも6mgのルテインとゼアキサンチンを摂取すると、加齢黄斑変性症のリスクを減らせる可能性があると考えられています。また、ルテインとゼアキサンチンが豊富な食品の摂取が多い人は、白内障のリスクが低いという報告もありますが、これがルテインやゼアキサンチンの摂取によるものなのか、その他の要因によるものなのかはまだ明らかになっていません。

加齢性眼疾患研究2（AREDS2）では、ルテインとゼアキサンチンの補給が、加齢黄斑変性症の進行を抑制するかどうかを検証しています。この研究では、ルテインとゼアキサンチンを含むグループと含まないグループを比較したところ、ルテインとゼアキサンチンを含むグループでは、加齢黄斑変性症の進行を抑制する効果が見られました。ただし、加齢黄斑変性症を萎縮型と滲出型に分けて解析すると、滲出型は抑制できるものの、萎縮型は抑制できないという結果が出ています。

萎縮型加齢黄斑変性症の患者を対象とした研究では、10mg/日のルテイン補給によって、視力がわずかに向上するという結果が出ていますが、長期的な効果を評価するには更なる研究が必要とされています。

これらの研究結果から、ルテインの摂取は、目の健康維持に役立つ可能性があるものの、視力改善や目の病気の予防については、さらなる研究が必要であることが示唆されています。

食材中のルテイン量

ルテインは、色の濃い葉物野菜に多く含まれています。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

ルテイン - 素材情報データベース＜有効性情報＞（国立健康・栄養研究所）
カロテノイド（α-カロテン、β－カロテン、β－クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン） オレゴン州立大学 微量栄養素情報センター
* Antioxidant vitamin and mineral supplements for slowing the progression of age‐related macular degeneration コクランレビュー（2017年）（英語）

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