ルナ・オービター1号

ルナ・オービター1号の宇宙探査ミッション

ルナ・オービター1号（Lunar Orbiter 1）は、1966年に打ち上げられたアメリカの宇宙船で、ルナ・オービター計画の一環として、月の地表を詳しく調査する目的を持っていました。この計画は、サーベイヤー計画やアポロ計画の着陸地点を特定するためのものであり、月面の地形に関する貴重な情報を提供することを期待されていました。さらに、この宇宙船は月面測量や、放射線の強さ、流星塵の衝突に関するデータ収集も行いました。

1966年8月10日、ルナ・オービター1号は宇宙待機軌道に入り、月に向けての再点火が行われました。この過程において、宇宙船は時折、道標として使われるカノープスを見失ったり、オーバーヒートするというトラブルに見舞われましたが、月の位置を参照にして航行することで問題を回避し、宇宙船を太陽から36度傾けることで安定を取りました。

打ち上げから92.1時間後、この宇宙船は月の赤道付近にある楕円形の軌道に入りました。その際、近点は189.1km、遠点は1866.8km、軌道周期は3時間37分という設定がなされ、傾斜角は12.2度でした。さらに、8月21日には近月天が58km、8月25日には40.5kmまで下げられ、より精密な観測が可能になりました。

ルナ・オービター1号は、8月18日から29日の間に月面の画像を撮影しました。これにより、月面の約500万平方キロメートルにわたる42枚の高解像度画像と、187枚の中解像度画像を地球に送信しました。これにより、ミッションの75%が達成されました。また、月の距離から見た地球の写真も2枚初めて撮影されましたが、初期に撮影された高解像度画像は残念ながら不鮮明でした。それに対して、その他の実験からは非常に正確なデータが得られ、ミッションの成功に寄与しました。

宇宙船の軌道は、月の引力に影響を受け「洋梨型」の形状をしていることが観測され、流星塵の検出には至りませんでした。1966年10月29日、ルナ・オービター1号は577周目に月の裏側、北緯7度、東経161度の地点に衝突します。この事故は、宇宙船の軌道制御に必要なガスが不足していたり、さまざまな劣化が進行していたこと、他の宇宙探査機であるルナ・オービター2号との通信干渉を避けるために予定より早く終了したものでした。

ルナ・オービター1号による月面探査は、月の科学的研究にとって重要なステップとなり、その成果は後続のミッションに多大な影響を与えました。宇宙探査の歴史において、彼の役割は欠かせないものといえるでしょう。

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