ルナ16号

ルナ16号：ソビエトの月探査機

ルナ16号（ロシア語：Луна-16、ラテン文字表記例：Luna 16）は、1970年に打ち上げられたソビエト連邦の無人月探査機です。この探査機は、月面からの土壌サンプルを初めて地球に持ち帰るという重要な成果を上げました。無人探査機が月の試料を地球に戻すことに成功したのは、このルナ16号が初めてとなります。それ以前には、1969年にアポロ11号が人類史上初めて月の岩石を持ち帰る成功を収めていましたが、ルナ16号の成功は無人探索の新たな一歩を示しました。

設計の特徴

ルナ16号は、ゲオルギー・ババキンが率いるラーヴォチュキン設計局によって設計・製造されました。この探査機は、降下ステージと上昇ステージの二部構成となっており、降下ステージは月面への着陸を担当、上昇ステージは地球への試料輸送を担います。

降下ステージは、他の探査機（ルナ9号やルナ13号）と異なり、エアバッグではなくロケットエンジンを使用して軟着陸を実現しました。探査機は四本の脚で地面に接触し、着陸後にはカメラや温度計、放射線計を活用した科学観測も行いました。上昇ステージは、降下後に月面からの発射を行い、試料を地球へと送ります。上昇時には、専用のロケットエンジンが作動し、試料を収容するカプセルが大気圏に突入します。

充実した機能を持ちながら、ルナ16号の全体重は5.6トン。打ち上げにはプロトンロケットが使用されました。

飛行経過とミッション

1970年9[[月12日]]、ルナ16号はバイコヌール宇宙基地からプロトンロケットで打ち上げられました。打ち上げは順調で、すぐに地球周回軌道に投入されました。同日中に脱出ステージが点火され、月への軌道に乗せられました。この後、9[[月13日]]には軌道微修正を行い、9[[月17日]]には月周回軌道に入ります。

ルナ16号は一定期間、月の重力異常を観測できる位置を維持しました。そして9[[月20日]]、降下ステージが作用して探査機は月面に向かって降下を始めます。この時、高度20メートルでメインエンジンを停止し、続いて副エンジンが点火され、最終的には2メートルの高度で全てのエンジンが停止。1970年9[[月20日]]、記録的な瞬間にルナ16号は豊かの海に軟着陸しました。

着陸地点が夜を迎えた後、降下ステージに搭載された採集装置が展開され、周辺の土壌を掘削、上昇ステージへと試料を送ります。9[[月21日]]には土壌サンプルの封入が完了し、上昇ステージは月面を離れました。その後、降下ステージは月面における放射線観測を続けました。

そして9[[月24日]]、上昇ステージは地球の大気圏に突入し、カザフスタンへと無事に帰還。回収された月の土壌試料は、総量で101グラムに達しました。この成功により、ルナ16号は無人探査による月の研究に新たな道を開く重要なミッションとなりました。

関連項目

• - ルナ計画
• - アポロ計画
• - 嫦娥計画

参考文献

• - “Luna 16” (英語). NASA - NSSDC. 2008年5月29日より取得。

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