ルノー・11

ルノー・11（Renault 11/R11）は、フランスの自動車メーカー、ルノーが手掛けたハッチバックモデルです。セダンタイプであるルノー・9の兄弟車にあたり、先行して生産を終了したルノー・14の後継として、1983年に市場に投入されました。

デザインと変遷

ルノー・11が登場した当初の外観は、北米市場向けにアメリカン・モーターズ（AMC）が生産していたルノー・アライアンス（9の北米版）と同様の、角型4灯ヘッドランプを持つフロントマスクを特徴としていました。このフェイスリフトは、1985年にはセダン版の9にも適用されています。リアエンドには使い勝手の良いガラスハッチが採用されました。1986年には、9とともにマイナーチェンジ（フェイズ2）が実施され、フロントマスクは横長タイプのヘッドランプに変更され、より洗練された印象となりました。

メカニズム

メカニズム面では、ルノー・9と多くの要素を共有しています。駆動方式は、エンジンを横置きに配置するジアコーサ方式のFF（前輪駆動）を採用。サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式、リアにはトレーリングアームと横置きトーションバーを組み合わせた方式が用いられました。

エンジンラインナップは、販売開始当初はOHVの1.1リットルと1.4リットルの2種類が設定されました。1984年には、SOHCの1.7リットルエンジンや1.6リットルのディーゼルエンジンが加わります。さらに同年には、スポーティな3ドアモデル向けに1.4リットルターボエンジン（最高出力105PS）が追加され、注目を集めました。翌1985年には、このターボエンジンが5ドアモデルにも展開されました。1986年のマイナーチェンジでは、エントリーグレードの1.1リットルエンジンが1.2リットルに換装されたほか、ターボエンジンの最高出力が115PSに引き上げられ、走行性能が向上しています。

モータースポーツと海外展開

ルノー・11の中でも、特にパワフルな1.4リットルターボエンジン搭載モデルは、世界ラリー選手権（WRC）にも参戦し、その性能を証明しました。

北米市場においては、ルノー傘下にあったAMCによって「ルノー・アンコール（Encore）」という名称で生産・販売されました。これは、1983年（1984年モデルイヤー）から、前年にデビューしていた9ベースの「アライアンス（Alliance）」とともに展開されたものです。しかし、1987年にはモデルラインナップが統合され、アンコールの名称は消滅し、「アライアンス・ハッチバック」として販売されることになりました。同年、AMCがクライスラーに買却されたことに伴い、北米での生産は終了となりました。

生産終了

ルノー・11は、兄弟車であるルノー・9とともに、1989年に生産を終えました。その後継モデルとして、ルノー・19が登場しています。

ちなみに、フランス語では「11」は「オンズ（onze）」と読まれます。

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