ルノー・M9T

ルノー・M9Tディーゼルエンジンの概要

ルノー・M9Tは、フランスのクレオン工場にて製造されている商用車向けのディーゼルエンジンです。このエンジンは、日産では「YS23」、メルセデス・ベンツでは「OM699」と名付けられ、同じく日産のMRエンジンシリーズの設計思想が基盤となっています。ただし、使用されている素材や設計には違いがあり、M9Tはディーゼルエンジン特有の高い耐久性を求められています。

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M9Tエンジンの設計と性能

M9Tエンジンは、2010年にルノーが新型マスターバン発表の際に導入したもので、ルノー製の2.5L G9Uと日産製の3L ZD30エンジンの後継として位置付けられています。このエンジンは、基本的には２Lガソリンエンジンの設計を基にしていますが、耐久性向上のために鋳鉄クランクケースが使用されています。
エンジンの過給方式にはコモンレール直噴技術が採用されており、ターボチャージャーとインタークーラーが組み合わさることで、高性能を発揮します。

バリエーションと性能

当初、M9Tエンジンは3つの異なる性能バリエーションが用意されていました。以下にその詳細を示します：

1. シングルターボチャージャー付き
- 最高出力：100 PS (74 kW) @ 3,500 rpm
- 最大トルク：285 N・m (1,250〜2,000 rpm)

2. シングルターボチャージャー付き
- 最高出力：125 PS (92 kW) @ 3,500 rpm
- 最大トルク：310 N・m (1,250〜2,500 rpm)

3. 可変翼ターボチャージャー付き
- 最高出力：150 PS (110 kW) @ 3,500 rpm
- 最大トルク：350 N・m (1,500〜2,750 rpm)

これらのエンジンは、ルノー・マスターの3代目およびオペル・モヴァノに搭載されました。日産・NV400でも使用されていますが、150 PSのエンジンは若干デチューンされて145 PSに調整されています。

ユーロ6規制への適合

2015年以降、M9Tエンジンはユーロ6基準に対応するための改良が施され、エンジンバリエーションが8つに増えました。このうちの4つはツインターボ仕様で、優れたトルク性能が強調されています。残りの4つはシングルターボ仕様でありつつも、それぞれの出力に応じた性能保持がなされています。

日産とメルセデス・ベンツでの展開

日産・ルノーグループとダイムラーグループの提携の結果、2015年にはM9Tを基にした2.3Lのエンジンが誕生しました。日産では「YS23」として、ダイムラーでは「OM699」として認識されています。このエンジンは、性能面でも魅力的なバリエーションを提供していますが、M9Tエンジンと同じ排気量でありながら、バリエーションが限られています。

主要な搭載車種

• - ルノー・M9T
• - 日産・YS23 (メルセデス・ベンツ・OM699)
• - 日産・ナバラ （ルノー・アラスカン、メルセデス・ベンツ・Xクラス）
• - 日産・テラ

これらの車両は、M9Tエンジンの特性を活かし、商用車市場において強力なパフォーマンスを発揮しています。

まとめ

ルノー・M9Tエンジンは、商用車向けの高性能なディーゼルエンジンであり、他ブランドでも採用されるなど多岐にわたる展開を見せています。このエンジンの進化は、過去の技術を踏まえており、今後もさらなる改良が期待されることでしょう。

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