ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密

ルパン三世 トワイライトジェミニの秘密：概要と魅力

『ルパン三世 トワイライトジェミニの秘密』は、1996年8月2日に日本テレビ系「金曜ロードショー」で放送された『ルパン三世』TVスペシャルシリーズ第8作です。視聴率16.8％を記録した本作は、シリーズ作品の中でも独特な魅力を放つ、異色の作品として知られています。

物語の舞台：モロッコのゲルト族とイゴ族

物語は、時価数千億フランともいわれるゲルト族（架空の部族）の財宝をめぐる争奪戦から始まります。その鍵となるのが、「トワイライト」と呼ばれるピンクダイヤモンド。ルパン三世は、かつての恩人であるヨーロッパ裏社会のドン、ドルーネからこのダイヤモンドを託されます。一方、ICPOの新任本部長ジャン・ピエールは、銭形警部を全面的にバックアップし、ルパン逮捕に全力を注ぎます。

舞台となるモロッコでは、イギリス占領政策の過去を背景に、街の実権を握るイゴ族と、自治の復活を目指すゲルト族が対立していました。ルパンはゲルト族の少女ララと出会い、彼女を助けることから、この争いに巻き込まれていきます。

新たな試み：シリーズからの脱却と栗田ルパンの完成

本作のコンセプトは「ルパン三世の魅力と武器を全て外してみる」ことでした。そのため、これまでのシリーズ作品とは異なるアプローチが随所に見られます。

特に、栗田貫一による「栗田ルパンの完成」を目指した演出は注目に値します。本作では、ルパンが鳳啓助、田村正和、志村けんといった著名人のモノマネをするシーンがあり、従来のイメージを覆すコミカルな一面が強調されています。

さらに、長年劇伴を担当してきた大野雄二が一時的に降板し、根岸貴幸が音楽を担当したことも特筆すべき点です。そのため、「ルパン三世のテーマ'89」ではなく、「ルパン三世のテーマ（'96 TVヴァージョン）」が使用されました。大野雄二が劇伴を担当していないテレビスペシャルは、現在も本作のみとなっています。

脚本誕生秘話：クラリスを超えるヒロイン像

脚本を担当した三井秀樹によると、日本テレビのプロデューサーから「クラリスを超えるヒロインを」という注文があったことが脚本制作のきっかけでした。当初は、『アルセーヌ・ルパン』シリーズを基に、ルパン三世がモロッコで「もう一人の三世」を探すというストーリーが構想されましたが、版権問題により、現在のストーリーに変更されました。

ルパンの新たなファッションと過激な描写

本作では、ルパンの衣装もシリーズ作品と異なります。青いシャツにノーネクタイ、白いジャケットとパンツという、新鮮なスタイルが採用されました。また、次元大介の帽子の帯の色も変更され、この設定は次のTVスペシャルまで継承されました。さらに、不二子やララを主役とした、歴代のTVスペシャルの中でも最も過激なお色気シーンも含まれています。

エンディングとエピローグ：新たな演出の導入

エンディングもこれまでのシリーズとは異なり、本編が挿入され、初めてエンディング後のエピローグシーンが設けられました。この演出は、後のTVスペシャルでも採用されることとなります。

スタッフとキャスト

監督は杉井ギサブロー。1969年の『ルパン三世 パイロットフィルム』以来27年ぶりの参加となりました。

主要キャストは栗田貫一（ルパン三世）、納谷悟朗（銭形警部）、小林清志（次元大介）、井上真樹夫（石川五ェ門）、増山江威子（峰不二子）など、おなじみのメンバーに加え、ララ役に久川綾、ドルーネ役に森山周一郎（友情出演）といった豪華な声優陣が参加しています。

まとめ

『ルパン三世 トワイライトジェミニの秘密』は、シリーズ作品ながらも、新たな試みと魅力的なキャラクター、そしてスリリングな展開によって、多くの視聴者を魅了した作品と言えるでしょう。従来の『ルパン三世』とは異なる魅力を持つ本作は、シリーズファンだけでなく、初めて『ルパン三世』に触れる視聴者にもおすすめできる一作です。

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