ルメリア

ルメリアの歴史と地理

ルメリア（トルコ語: Rumeli）は、オスマン帝国の支配下にあった南バルカン地域を指す名称です。この呼称は15世紀から使われるようになり、直訳すると「ローマ人の土地」を意味します。「ローマ」という名前は、オスマン帝国以前にこの地域を治めていた東ローマ帝国を指しており、歴史的な文脈を持っています。

ルメリアの起源と変遷

11世紀から12世紀にかけて、ルメリアという言葉はアナトリア地方にも用いられていましたが、トルコ人による東ローマ帝国の征服が進むと、次第にこの名称は南バルカン地域のみに特化していきました。

ルメリアは、古代に存在したさまざまな属州、例えばコンスタンティノープル属州、テッサロニキ属州、トラキア属州、マケドニア属州、さらにモエシア属州を含む地域に該当します。現在の地図で言うと、ギリシャ中部とトルコのヨーロッパ部分、さらにブルガリアと北マケドニア共和国の領域がルメリアに含まれます。北はドナウ川が境界であり、西はアルバニア、南はモレアと接しています。この地方の主都はビトラとされていました。

19世紀の変動とその影響

1870年から1875年にかけて行われた国境の変動によって、ルメリアという名前はほとんど使われなくなりました。1878年のベルリン条約の結果、オスマン帝国内に東ルメリ自治州が成立しましたが、この自治州は1885年9月6日に発生した無血革命を経て、ブルガリアに併合されることになります。

近現代においては、今日のトルコでは、「ルメリ」と呼ばれる地域は、主にエディルネ県、クルクラーレリ県、テキルダー県、チャナッカレ県北部、及びイスタンブール県西部を指す際には「トラキア」と呼ばれることが一般的です。それでも、ルメリアという名称は歴史的な文脈で使われ続け、特にバルカン地域に住むトルコ人や、バルカンからトルコへ移住した人々の文化を語る上で重要な用語です。

ギリシャにおいては、「ルメリ」は中央ギリシャを指し、特にモレアとの対比をする際に多く用いられています。

行政構造

ルメリアの最初のベイレルベイ（総督）は、ムラト1世の教師ララ・シャヒン・パシャであり、1362年の時点でルメリアの行政の中心をフィリベ（プロヴディフ）に設定しました。その後、1382年にソフィアに移行します。歴代のパシャの中には、サハベッティン・パシャやソコルル・メフメト・パシャ、ペルテヴ・パシャ、イェーン・パシャ、アリ・パシャ、そしてヨルガンジュオール・パシャなどが名を連ねており、それぞれがこの地域の重要な行政・政治的役割を果たしました。

余談

また、ルメリ・ヒサルという要塞は、コンスタンティノープル攻略のために建設され、地域的にも重要な地位を持っていたことが知られています。ルメリアという地域名は、その歴史的背景を知る上での鍵となるのです。

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