ルメリ・ヒサル

ルメリ・ヒサルの概要

ルメリ・ヒサルは、オスマン帝国の皇帝メフメト2世により1452年に建設された城塞で、コンスタンティノープルの攻略に向けての重要な拠点として機能しました。名前の由来は「ローマ人の土地（ルメリ）の要塞」を意味するもので、トルコ語の「Boğazkesen」（海峡を切る者）とも呼ばれていました。この要塞は、コンスタンティノープルに近い金角湾の北約10キロメートルに位置し、ボスポラス海峡の最狭部に建てられています。

歴史的背景

1452年、メフメト2世は東ローマ帝国の首都であるコンスタンティノープルを制圧するため、短期間である4か月で要塞の建設を完了させました。当時、この都市は古代ローマ由来の堅牢な城壁に守られ、海と川に囲まれた難攻不落の地となっていました。ルメリ・ヒサルは、金角湾の入り口を封鎖することでオスマン帝国艦隊の侵入を容易にし、コンスタンティノープル攻略に大きな役割を果たしました。

メフメト2世は、艦隊を陸上から丘を越えて金角湾に移動させるという戦術を用いて、攻略を実現したのです。要塞のすぐ北には、アジアとヨーロッパを結ぶファーティフ・スルタン・メフメト橋もあり、交通の要所となっていました。

ルメリ・ヒサルの構造

この城塞は、1つの小さな塔と3つの主な塔、さらに13の監視塔で構成されています。各メインタワーは建設に携わったワズィールの名に由来しており、正門の塔はÇandarlı Halil Pasha the Younger、南の塔はZagan Pasha、北の塔はSarıca Pashaに命名されています。また、メインタワーの周りには3つの門が、さらに南門には隠し扉が設けられています。モスクも存在し、現在はミナレットのみが現存しています。水源となる貯水槽も設けられており、要塞内の複数の地点に水を供給していました。

歴史的な出来事

ルメリ・ヒサルは1452年8月31日に完成し、その後は多くのイェニチェリが駐留していましたが、時間の経過とともにその役割は変わっていきました。17世紀には外国人捕虜を収容する刑務所としても利用され、1509年のイスタンブール地震により一度は破壊されたものの、その後すぐに修復されることになりました。1746年の火事で木造部分が焼失した際にも、迅速な修復作業が行われましたが、19世紀には取壊され、その後は住居が建てられるなど、変遷を遂げました。

文化における存在

ルメリ・ヒサルは、トルコの紙幣にも描かれているなど、その歴史的な重要性が評価されています。様々な時代の紙幣にその姿が象られ、トルコ文化の象徴として今なお人々の記憶に残っています。

ルメリ・ヒサルは、オスマン帝国の力を象徴する遺構であり、歴史的な背景を持つ要塞として観光名所でもあります。現在もその姿を残し、訪れる人々にその魅力を伝えています。

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