ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ

ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ (Lucy in the Sky with Diamonds)

ビートルズが1967年に発表した楽曲で、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録されています。レノン＝マッカートニー名義ですが、主にジョン・レノンによって作詞作曲されました。その幻想的でサイケデリックな作風は、発表から半世紀以上経った今も多くの人々を魅了し続けています。

誕生の背景

この曲は、ジョン・レノンの息子ジュリアンが幼稚園で描いた絵にインスピレーションを受けて生まれました。ジュリアンはルーシーという名のクラスメートを描き、「ルーシーがダイヤモンドを持って空にいるんだ」と説明したそうです。このエピソードが、曲のタイトルと歌詞の着想源となりました。

タイトルが「LSD」の隠喩ではないかという憶測も流れましたが、ポール・マッカートニーはこれを否定し、ジュリアンの絵がモチーフであると明言しています。ジョン自身も、歌詞はルイス・キャロルの詩に影響を受けたと語っており、『不思議の国のアリス』のような幻想的な世界観を表現しようとしたことが伺えます。

マッカートニーは、歌詞の一部のフレーズについて、「僕とジョンは言葉遊びをしていた。“岸辺に新聞紙のタクシーがあらわれて”といったフレーズは全て、あのシリーズがまだ続いていて、アリスが別の国に行ったとしたら、彼女の身に起こっていそうなことばかりだ」と語っています。

レコーディング

1967年3月にレコーディングが行われました。ロウリー・オルガンやタンブーラといった楽器が使用され、ドローン効果が加えられています。録音速度をわずかに遅くすることで、独特の音響効果を生み出しています。ジョン・レノンのボーカルはダブルトラッキングされ、ポール・マッカートニーのハーモニーが重ねられています。これらの工夫が、楽曲のサイケデリックな雰囲気をより一層高めています。

リリースと評価

1967年6月1日にアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録されリリース。評論家からは、その独創性と革新性が高く評価されました。リチャード・ゴールドスタインは「魅力的な珍品」と評し、スティーヴン・トマス・アールワインは「イギリスのサイケデリアの基準となる1曲」と評しました。リッチー・アンターバーガーは「音の質感と言葉の両方で、夢の世界をうまく惹起する曲は他にない」と評しています。

エルトン・ジョンのカバー

1974年には、エルトン・ジョンがこの曲をカバーし、全米1位の大ヒットを記録しました。このカバーには、ジョン・レノン自身も変名で参加しており、ギターとハーモニー・ボーカルを披露しています。エルトン・ジョンのバージョンは、オリジナルとは異なる魅力があり、多くのファンに愛されています。

その他のアーティストによるカバーと文化的影響

「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。ウィリアム・シャトナー、伊藤銀次、ブラック・クロウズ、PUFFY、ザ・フレーミング・リップスなどが、それぞれの個性を活かしたカバーを披露しています。

この曲は、音楽以外の分野にも影響を与えています。人類学上の発見であるアウストラロピテクス・アファレンシスの化石人骨に「ルーシー」と名付けられたり、天文学者が発見した白色矮星に「ルーシー」と名付けたりするなど、様々な文化的現象に影響を与えています。また、アーサー・C・クラークのSF小説にも登場するなど、多岐にわたる分野でその名を知られています。

「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」は、時代を超えて愛されるビートルズの代表作の一つであり、音楽史に残る名曲として、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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