ルード・ボーイ (映画)

『ルード・ボーイ』（Rude Boy）は、1980年にジャック・ハザンとデヴィッド・ミンゲイが共同で監督を務めた映画です。この作品は、ドラマとロキュメンタリーという、二つの異なる要素を組み合わせることで、独特な魅力を放っています。

映画は、当時のザ・クラッシュのファンを背景に、彼らの活動を追っています。具体的には、ヴィクトリアパークで開催された「ロック・アゲンスト・レイシズム (Rock Against Racism)」イベントや、「オン・パロール」「ソート・イット・アウト」ツアー、そしてアルバム『動乱』のレコーディング風景などが描かれています。これらのシーンを通じて、当時の社会情勢や音楽シーンの熱気が伝わってきます。

映画のタイトルにもなっている「ルード・ボーイ」は、1960年代のジャマイカで生まれたルード・ボーイ・カルチャーに由来します。このサブカルチャーは、音楽やファッションを通じて反体制的なメッセージを発信し、若者たちの間で大きな影響力を持っていました。

しかし、ザ・クラッシュのメンバーは、この映画の内容に大きな不満を抱いていたようです。映画の公開に合わせて、ロンドンのバッジメーカーであるベター・バッジに「クラッシュの映画ルード・ボーイなんていらない」と書かれたバッジを制作させたというエピソードは、彼らの複雑な心境を物語っています。

映画自体は、1980年のベルリン国際映画祭で奨励賞を受賞し、金熊賞にもノミネートされるなど、一定の評価を得ています。その後、2003年には日本で初めてメジャー・レーベルからDVDが発売され、2004年にはオーストラリア、2006年にはアメリカでもDVD化されました。アメリカ版では、ボーナス映像も追加されています。

物語は、レイ・ギャングという名のルード・ボーイが、ソーホーのポルノショップでの仕事を辞め、ザ・クラッシュのローディーになることを決意するところから始まります。彼は「ロック・アゲンスト・レイシズム」のイベントでバンドを追いかけ、ツアーマネージャーのジョニー・グリーンに北イングランドツアーのクルーとして誘われます。このツアーを通じて、レイはバンドのメンバーや関係者と交流し、様々な経験を積んでいきます。

キャスト

レイ・ギャング - レイ（ルード・ボーイ）
ザ・クラッシュ - 本人役
ジョー・ストラマー - リズムギタリスト
ミック・ジョーンズ - リードギタリスト
ポール・シムノン - ベーシスト
トッパー・ヒードン - ドラマー
ジョニー・グリーン - ツアー・マネージャー

収録曲

ポリスとコソ泥 (Police and Thieves)
ガレージランド (Garageland)
ロンドンは燃えている! (London’s Burning)
白い暴動 - (White Riot)
ハマースミス宮殿の白人 (White Man at Hammersmith Palais)
ジェニー・ジョーンズ (Janie Jones)
トミー・ガン (Tommy Gun)
すべての若きパンクスども (All The Young Punks)
ステイ・フリー (Stay Free)
セイフ・ヨーロピアン・ホーム (Safe Europian Home)
ワッツ・マイ・ネイム (What's My Name)
ノー・リーズン (No Reason)
アイ・フォート・ザ・ロウ (I Fought The Law)
* コンプリート・コントロール (Complete Control)

『ルード・ボーイ』は、ザ・クラッシュの音楽と、当時の社会情勢を背景に、若者たちの姿を描いた作品です。メンバーの不満があったとはいえ、彼らの熱いパフォーマンスやメッセージは、観る者の心に深く刻まれることでしょう。

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