ルーマニアワイン

ルーマニアワイン

ルーマニアは、ヨーロッパ有数のワイン生産地であり、近年ではギリシアやハンガリーと並び、世界でも上位のワイン生産国として知られています。その歴史は古く、ワインはルーマニアの人々の生活や文化に深く根付いています。

歴史

ルーマニアにおけるワイン造りの歴史は、キリスト教以前の紀元前に遡ります。5000年以上前のワイン容器が発見されており、古代ダキアの時代には、ワインは水よりも重要な飲み物として扱われていました。ローマ皇帝ブレビスタがブドウ栽培を禁止しようとしたという逸話も残っています。

中世には、修道院や教会がワイン生産の中心となり、ルーマニア国民の9割以上がキリスト教徒であることも、ワイン造りの発展を後押ししました。19世紀後半には、ルーマニアワインがフランスのパリで大流行し、その品質の高さがヨーロッパ中で認められました。

しかし、1947年にルーマニアが社会主義国家となると、ワイン産業はソ連の影響下に入り、国際市場から一時的に遠ざかります。ソ連圏内へのワイン供給地としての役割を担い、1960年代にはブドウ畑の面積が大幅に拡大しました。1989年の社会主義体制崩壊後、ルーマニアワインは再び国際市場に参入し、その存在感を取り戻しつつあります。

気候とテロワール

ルーマニアは大陸性気候に属し、夏は暑く、降水量が少ないのが特徴です。特に黒海沿岸部ではその傾向が顕著です。国土の中央にはカルパティア山脈が走り、山脈の内側のトランシルヴァニア地方は高原地帯となっており、冷涼な気候がブドウ栽培に適しています。

主要な生産地域

モルダヴィア: ルーマニア最大のワイン生産地であり、国内生産量の3分の1を占めます。北部では白ワイン、南部では赤ワインが主に生産されています。特に、ヤシ県コトナリの貴腐ワイン「コトナリ」は、「モルダヴィアの真珠」と称され、国際的な評価も高いです。
ワラキア: 赤ワインの生産が中心で、ディアルマーレ地方はルーマニアの赤ワインの中心地として知られています。かつてはソ連の影響で甘口の赤ワインが生産されていましたが、近年は辛口の高品質なワイン造りへと転換しています。
トランシルヴァニア: 高原地帯であり、冷涼な気候が特徴です。白ワインの生産が中心で、ハンガリーワインと近い系統のワインが造られています。
ドブロジャ: 黒海沿岸に位置し、ルーマニアで最も温暖な地域です。赤ワインと白ワインの両方が生産されており、ムルファトラー地域の赤ワイン「ムルファトラー」は代表的な銘柄として知られています。

まとめ

ルーマニアワインは、長い歴史と多様なテロワール、そして社会主義時代という独自の背景を持つ、魅力的なワインです。近年、国際市場での評価も高まっており、今後の発展が期待されています。ルーマニアを訪れた際には、ぜひ地元のワインを味わってみてください。

関連項目
ルーマニア料理
モルドバワイン、ウクライナワイン
* ハンガリーワイン

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