ルーマニア語版ウィキペディア

ルーマニア語版ウィキペディア（Wikipedia în limba român）は、多言語オンライン百科事典プロジェクト「ウィキペディア」のルーマニア語版として、2003年2月16日に誕生しました。2021年8月17日現在、421,987項目を超える記事数を擁し、全言語版ウィキペディアの中で31番目に記事数が多いという実績を持っています。また、2004年12月からは、ルーマニアにおけるウィキメディア財団の国別協会設立に向けた議論が開始されました（Asociaţia Wikimedia Româniaを参照）。

歴史

ルーマニア語版ウィキペディアの最初の記事は2003年7月に投稿され、メインページの最初の草案は7月12日に作成されました。初期の利用者インタフェースは英語でしたが、ボグダン・スタンチェスク（Utilizator:Gutza）が管理者権限を得てルーマニア語に翻訳を進めました。スタンチェスクはルーマニアの複数の大学に協力を呼びかけ、新しい参加者を募りました。この活動がメディアに取り上げられ、スタンチェスクはウィキペディア・プロジェクトを紹介する機会を得ました。2003年末には、記事数が3,000を超え、16番目に記事数の多いウィキペディアとなりました。10,000項目目の記事は2004年12月13日、50,000項目目は2007年1月5日に作成されています。

2004年4月には、アルーマニア語版ウィキペディアの立ち上げに協力しました。

また、独立したモルドバ語版ウィキペディアの作成をめぐる問題にも直面しました。モルドバ語には独自のISO 639コード（mo / mol）が割り当てられていたため、モルドバ語版ウィキペディアは自動的に作成されました。初期にはルーマニア語版へのリダイレクトとされていましたが、やがて独自の項目を受け入れ始めました。文字にはキリル文字が使用されていましたが、これはソビエト連邦時代のモルダビア・ソビエト社会主義共和国で1989年まで使用されていたものです。この問題は編集合戦と長期にわたる議論を引き起こし、2006年からモルドバ語版ウィキペディアは凍結されています。その後もこの問題は繰り返し議論されていますが、利用者の投票ではモルドバ語版ウィキペディアの閉鎖が支持されています。

ルーマニア語版ウィキペディアは2008年1月11日に100,000項目を達成しました。登録済みの利用者は45,000人を超え、そのうち20人が管理者です。

2010年には、ルーマニア革命が始まった12月21日から、ロゴマークの位置に革命軍の軍旗を表示していました。

特徴

ルーマニア語の記事には複数の表記法が混在しています。これは主に非円唇中舌狭母音（/ɨ/）を表す2つの文字「â」と「î」の使用法に関係しています。1993年のルーマニア語アカデミーによる正書法では、語頭の/ɨ/音は「î」、語中のものは「â」で表記するとされました（例外あり）。しかし、1953年から1993年までの間はこの音はすべて「î」で表記されており、1963年以降はルーマニア（România）やルーマニア語（român）に関する場合のみ例外的に「â」を使うと定められました。ルーマニア語アカデミーによる正書法はルーマニアでは法令や学校教育にも用いられました。一方、モルドバでは正書法が改定される1993年よりも前にキリル文字からラテン文字に切り替えました。モルドバでは、ルーマニアで1993年に改定が行われた後も、2001年に至るまで（ルーマニアとルーマニア語以外については）「î」のみを用いる改定前の正書法を使用しつづけました。実用上は、どちらの表記法もいずれの国でも受け入れられており、両方の表記法を用いる出版社や雑誌も存在します。セルビアのヴォイヴォディナでは、改定後の正書法のみが用いられています。その他、「sunt」/「sînt」や、「niciun」/「nici un」といった綴りの違いがあります。ルーマニア語版ウィキペディアでの表記法の方針は、ルーマニア語版ウィキペディアの公式の方針となっています。

語調に関する方針として、ルーマニア語版ウィキペディアでは、2人称の名詞、動詞、所有形容詞には尊称を用いています。この方針は2006年初頭に議論され、2人称には親称の「tu」ではなく尊称の「dvs.」を用いることが定められました。

関連項目

ルーマニア語
アルーマニア語版ウィキペディア
モルドバ語版ウィキペディア

外部リンク

Romanian Wikipedia
* Aromanian Wikipedia

もう一度検索