ルーン (槍)

ルーン：ケルト神話に輝く魔槍

ルーン（ルイン）は、ケルト神話に登場する著名な槍であり、特にアルスターの戦士、ケルトハル・マク・ウテヒルの愛槍として知られています。この記事では、ルーンの持つ特徴、神話における役割、そして関連する文献について詳しく解説します。

ルーンの概要

ルーンは、アイルランド古文学において重要な位置を占める武器です。一般的な「槍」という意味に加え、特にケルトハルの槍を指すことが多いです。ただし、ドゥフタフなど他の人物が使用した場合でも、「ケルトハルのルーン」と呼ばれます。

ルーンの最大の特徴は、穂先をどす黒い液体（血の煮凝りや毒液）に浸しておかないと、柄が燃え上がり、使用者を危険に晒すという点です。この特性が、ルーンを単なる武器以上の、神秘的な存在にしています。

ルーンの由来

古文書によれば、ルーンは元々、長腕のルーが所有していた魔槍であり、後にコルマク・マク・アルト上王の手に渡りました。オェンガスが使用した際には、コルマク王の片目を失明させたという逸話が残っています。

ルーの槍との関連性

『ダ・デルガの館の崩壊』には明確な記述はありませんが、ケルトハルのルーンはルーの槍であると考えられています。ルーが賠償として得た槍は、『トゥレンの子らの最期』において「殺戮者」と呼ばれ、水に浸しておかないと都市を焼き尽くすという、ルーンと酷似した性質を持っています。

W・M・ヘネシーは、15-16世紀の写本からの引用を通じて、ルーの槍が時代によって異なる名で呼ばれていたことを明らかにしました。それによれば、ルー・マク・エスリンの槍は、コンホヴァル・マク・ネサの時代には「ケルトハルのルーン」、コルマク・マク・アルトの時代には「毒槍のクリヴァル」と呼ばれていたとされています。

ルーンに関連するエピソード

ロスナリーの戦い

戦記『ロスナリーの戦い』には、ケルトハルがこの発火性の槍を取りに現れる場面が描かれています。

ダ・デルガの館の崩壊

一般的には、『ダ・デルガの館の崩壊』におけるドゥフタハ・ダイル・テンガが「ケルトハルのルーン」を借用し、その槍を大釜につけている場面がよく知られています。見張り役が槍の正体を言い当て、それがマグ・トゥレドの戦いで見つかったトゥアハ・デ・ダナーン神族の所持品であることを付け加えます。

クリヴァルとの関係

文献には、コルマク・マク・アルト上王の片目を失明させた「毒槍の」オェングスが使用した槍クリヴァル（「血みどろ」の槍）とルーンが同一であるという記述があります。オェングスは恨みを抱いて王に謁見し、王の愛槍クリヴァルを奪い、その際に王の眼球を潰したとされています。

自滅の凶器

ルーンは、使用者自身にも危険を及ぼす凶器でした。ケルトハルは、飼い犬ダイルクーを退治する際にルーンを使用しましたが、その際に犬の血が槍を伝って自身を貫き、命を落としました。また、ドゥフタハもフェドリウィドが振るったルーンによって倒されたと伝えられています。

ルーンの予兆

コノートの見張り役は、ドゥフタハの使用するルーンが「興奮」状態になると、穂先から火花を噴き出し、血黒い液体（毒液）に浸け置かれる様子を目撃しています。クーロイは、この液体が犬、猫、ドルイド僧の血を使って作られたものであり、槍が戦の接近を予兆していると説明しました。

ルーンに関する一次資料

ルーンに関する記述が見られる主な文献は以下の通りです。

『ダ・デルガの館の崩壊』
『ウラドの武者たちの酩酊』
『ロスナリーの戦い』
『ケルトハル・マク・ウテヒルの最期』
『デシ一族の追放』への附記
キナイド・ウア・アルタカーンの詩

まとめ

ルーンは、ケルト神話において単なる武器以上の意味を持つ、神秘的な槍です。その発火性や毒液への依存、そして使用者自身にも危険を及ぼす性質は、ルーンを特別な存在にしています。関連する神話や文献を通じて、ルーンの魅力に触れてみてください。

もう一度検索