レア&アンリリースド・レコーディングス

アレサ・フランクリン『レア&アンリリースド・レコーディングス』

2007年にリリースされたアルバム『レア&アンリリースド・レコーディングス』（原題：Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of the Queen of Soul）は、アメリカのソウルシンガー、アレサ・フランクリンによる貴重なコンピレーションアルバムです。この作品には、彼女がアトランティック・レコードと契約していた時期に録音されたデモやアウトテイク、シングルのB面曲などが収められています。全35曲のうち、30曲は今回が初めて世に出される未発表音源となっています。

アルバムの内容について

アルバムの冒頭に収録されている3曲は、アトランティックに移籍した後の最初のセッション時のデモ録音で、フランクリン自らがピアノを演奏しつつ、ベーシストとドラマーを伴う構成で録音されています。特に3曲目の「スウィート・ビター・ラヴ」は、彼女が過去にコロムビア・レコードで録音した楽曲を再び演奏したものです。これらの楽曲は、フランクリンの音楽キャリアの重要な一部であり、彼女のソウルフルな歌唱スタイルを強調しています。

反響と評価

アメリカの総合アルバム・チャート「Billboard 200」にはランクインしなかったものの、R&Bアルバム・チャートでは87位を記録しました。また、第51回グラミー賞では、アルバムのライナーノーツを担当したジェリー・ウェクスラーとデヴィッド・リッツが最優秀アルバム・ノーツ賞にノミネートされるなど、その内容が高く評価されました。音楽評論家Richie Unterbergerはオールミュージックにおいてこのアルバムに対して5点満点のうち3.5点を付け、フランクリンが彼女の魅力的なソウルフルな歌を披露していることを称賛しました。また、冒頭3曲のデモ録音は特に興味深く、シンプルなアレンジであることが後にジェリー・ウェクスラーのプロデュースにより、楽曲の本来の力が引き出されていると指摘しています。

一方、リチャード・ウィリアムズは『ガーディアン』のレビューで満点を付け、「マイ・ウェイ」のカヴァーにおいて、アレサはこの曲を見事に再構築しており、聴く者に深い感動を与えると評価しました。原曲が持つメロドラマ的な要素に新たな魅力を加え、聴く者の心を揺さぶるパフォーマンスを実現しています。

収録曲の概要

アルバムは2つのディスクに分かれており、それぞれに多様な楽曲が収められています。ディスク1にはデモ録音や未発表の楽曲が多く、アレンジの異なる「貴方だけを愛して」や「ドクター・フィールグッド」、さらには「マイ・ウェイ」など様々なバージョンが含まれています。ディスク2では、「ロック・ステディ」や「ヘヴンリ・ファーザー」といった楽曲が収録されており、彼女の音楽の多様性を楽しむことができます。

このアルバムは、アレサ・フランクリンの音楽的遺産を再評価し、新たな視点から彼女の魅力を再発見させてくれる逸品です。彼女の歌声が響くことで、聴く者は時を越えた感動を得ることができるでしょう。

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