レイジー (帆船)

レイジー（razee）とは

レイジーは、改装を施した木造帆船の一形態を指します。この用語は、「切り詰めた」という意味の英単語「razeed」に由来しており、具体的には甲板数を減少させた船を示します。本記事では、レイジーがどのようにして歴史に現れ、海軍による利用方法やその背景について詳しく解説します。

イギリス海軍におけるレイジー

イギリス海軍では、特に小型の戦列艦を大型フリゲートに改装する形でレイジーが実行されました。この改装は、74門または64門装備の2層甲板を持つ戦艦を基にしています。18世紀から19世紀にかけて、戦列艦の大型化が進む中、小型戦列艦の役割は減じていきました。そのため、軍艦の改装によって新しくフリゲートに転換することが戦略的に望まれました。

レイジーによって再生された艦は、純粋なフリゲートとは異なり、より強力な武装を特徴としていました。特に注目すべきは、サー・エドワード・ペリュー艦長が指揮したフリゲート「インディファティガブル」で、これはイギリス海軍におけるレイジーの成功例とされています。

アメリカ海軍におけるレイジー

アメリカ海軍でも1840年代に進水した最後の帆走フリゲートに対してレイジー改造が行われました。この改装では、従来の40門装備のフリゲートを20門装備の大型スループに改造し、砲力を向上させることが目的でした。1850年代に入ると、冶金技術と砲術の進歩により、より強力な砲が製造可能となり、従来の装備を見直す要因となりました。

これにより、砲門を減らしながらも発射する砲弾の重量を増加させ、結果的に乗組員の数も削減することに成功しました。この改装された艦は南北戦争時にハンプトン・ローズ海戦で南軍の装甲艦「バージニア」に沈められた「カンバーランド」といった艦船に見られます。

その他の事例

レイジーの概念は17世紀後半にまで遡り、当時の古いガレオン船が海賊の手によってシップ型横帆船に改造される例もありました。この場合、海賊たちが船を浜に引き上げ、のこぎりで船首楼や船尾楼の一部を切り取りました。この改装では、砲甲板はそのまま保持され、軽快で取り扱いやすい船に生まれ変わりました。

この時の改装において得られた利点は、船楼における風の影響が減少し、風上へ向かう操作が容易になったこと、トップヘビーが解消され軽快さが増したこと、そして船尾楼が低くなったことでマストの後方構造がより自由に動かせるようになったことです。これらの成果は、レイジーとして改装された艦船が持つ特性の一部を形成しています。

結論

このように、レイジーという改装は、イギリス海軍やアメリカ海軍のみならず、海賊にまで広がる広範な歴史を持っています。艦船の機能向上と戦略的利用を狙ったこの取り組みは、海軍の戦力を変革する手段として重要な役割を果たしました。

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