レイルジェット

レイルジェット (railjet: RJ) およびレイルジェット・エクスプレス (railjet xpress: RJX) について

レイルジェットおよびレイルジェット・エクスプレスは、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)やチェコ鉄道(ČD)などが運行する国際優等列車です。2008年12月に運行を開始し、オーストリア国内および周辺各国の主要都市を結んでいます。この列車は、従来の国際優等列車よりも所要時間を短縮し、車内サービスを大幅に向上させることを目指して開発されました。

概要

ÖBBは、ヨーロッパ鉄道網の要衝という地の利を生かし、この新しい列車種別を開発しました。専用編成は、シーメンス製の「ヴィアッジオ・コンフォルト」(Viaggio Comfort)形客車で、最後尾をプッシュプル運転用の制御客車とした7両編成です。営業最高速度は230km/hで、牽引機にはシーメンス製の「ユーロスプリンター」形汎用電気機関車（ÖBB形式・1116形および1216形、愛称「タウルス」）が指定されています。ディーゼル機関車による運用も可能です。

種別は、通常のレイルジェットと、オーストリア国内の停車駅をさらに削減した速達形のレイルジェット・エクスプレスの2種類があります。現在は、国際運用の大半がレイルジェット・エクスプレスです。この列車は、オーストリア、ドイツ、スイス、ハンガリー、チェコ、スロバキア、イタリア各国の国鉄系旅客列車運行事業者によって運行されており、ÖBBの訓練センターなどで教育訓練を受けた機関士が乗務しています。

特徴

レイルジェットは、3クラス制を初めて採用しました。クラスは、business（1等ビジネス席）、first（1等席）、economy（2等席）と名付けられています。2012年のクラス再編以前は、ビジネスクラスがpremium、ファーストクラスがbusinessでした。上位2クラスでは、ターミナル駅に設置された「Club Lounge」を利用でき、シートサービスも提供されています。また、発券時に利用区間を指定できる「任意予約制」を採用していますが、2014年からは一部路線で全席指定化が実施されました。

固定編成の概念が導入され、客車と機関車で統一されたデザインが採用されています。制御客車は機関車と共通性を持たせた前面形状で、プッシュプル運転を可能にしています。これにより、進行方向が変わる場合でも機関車を付け替える必要がなく、折返し時間の短縮に貢献しています。また、総括制御用の回路を客車に引き通すことで、重連運転にも対応しています。

カラーリングは、ワインレッドを基調とし、屋根に濃いグレー、腰板から床下にかけて3色の異なるグレーを配しています。窓下は明るいレッドで引き立てられています。一方、ČD編成は濃淡ブルーを基調とし、屋根の立ち上がりと腰板をホワイトにするなど、近年のČD標準色を踏襲しています。

使用機関車は、当初は2電源の1116形のみでしたが、チェコでの運用開始を機に3電源の1216形も加わりました。これらの機関車は「タウルス」と呼ばれ、外観はほぼ同一です。

ÖBBの客車と機関車の一部には愛称が付けられており、運転室付近に「Spirit of ○○」と標示されています。例えば、Salzburg、Linz、Viennaなどの都市名や国名が使用されています。

車内設備

ÖBB編成はグレートーンを基調としたシックな内装に対し、ČD編成ではエコノミークラスがブルー系になるなど、異なるデザインが採用されています。車内には、停車駅や現在位置などの案内を表示するディスプレイが設置されています。すべての座席にコンセントが備えられており、2012年からはWi-Fiによるインターネットも無料で利用できます（ただし、オーストリア国内に限る）。

座席数は、ÖBB編成がビジネス16席、ファースト76席、エコノミー316席、レストラン14席です。一方、ČD編成では、ビジネス6席、ファースト42席、エコノミー384席、荷物室の補助席10席となっています。いずれの座席も固定式で、進行方向を変えることはできません。

1等座席では、ウェルカムサービスとしてドリンクやスナック、新聞・雑誌などが無料で提供され、食堂からのケータリングも可能です。これらのシートサービスは、以前はプレミアムクラスのみの設定で無料でした。食事代を含んだ座席指定料金が高額だったため、ニーズに合わず、クラス再編が行われました。

ビジネスクラスは、セミコンパートメントタイプの1等ビジネス座席で、大型の電動リクライニングシートを備えています。ファーストクラスは、オープンサロンタイプの1等座席で、革張りのリクライニングシートが配置されています。エコノミークラスは、オープンサロンタイプの2等座席で、固定式のクロスシートが配されています。

編成中に1箇所存在するレストランは、ビュッフェタイプで、テーブル席が用意されています。以前は「ビストロ」と称する立食形式でしたが、クラス再編に伴い改装されました。他にも、インフォポイントや子ども用の区画などが設けられています。

編成

2005年4月に最初の発注が行われ、客車と機関車はシーメンスによって製造されました。2008年7月には、一部車両を改修しての高速試験で275km/hを記録しています。

列車の本格登場に先立ち、塗色を検討するため試験塗装が施されました。その結果、ワインレッドが採用されました。2007年10月には、追加発注が行われましたが、一部はキャンセルされ、そのキャンセル分を活用し、ČDがČD railjetを発注しました。

ÖBB編成は2012年中に最終車両が落成し、総数357両となりました。一方、ČD編成は2014年初頭より順次落成し、運用を開始しました。

通常は電気機関車に専用客車7両をつないだ8両編成で営業します。客車は基本的には組み換えないが増減は可能であり、試運転では異なる編成も見られます。

運行系統

レイルジェットは、従来のインターシティやユーロシティに比べて所要時間に大きな差はありません。ÖBBでは、今後線路改良を進めて220km/h以上での走行区間を増やす計画です。保安装置が各国の鉄道で異なるため、一部編成のみに搭載されています。全編成をETCS Level2に対応させています。

主な運行路線は以下の通りです。

ミュンヘン - ザルツブルク - ウィーン - ブダペスト
ウィーン - ザルツブルク - インスブルック - チューリッヒ または ブレゲンツ
プラハ - ブルノ - ウィーン - グラーツ または ウィーン - クラーゲンフルト - フィラッハ（ - リエンツ - ヴェネツィア）

その他の最新の運行経路や所要時間は、ドイツ語版の公式ページを参照してください。

脚注

詳細は、公式ページや関連情報を参照してください。

関連項目

ナイトジェット

外部リンク

ÖBB railjetの紹介 公式サイト（英語）
ÖBBの車内設備 公式サイト（英語）
ČD railjetの紹介 公式サイト（英語）
ドイツ鉄道のrailjet紹介ページ 公式サイト（英語）
* ハンガリー国鉄のrailjet紹介ページ 公式サイト（ハンガリー語）

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