レオノーレ序曲第3番

レオノーレ序曲第3番 作品72b

ベートーヴェンが1806年初頭に作曲した管弦楽曲で、オペラ『レオノーレ』（後の『フィデリオ』）の改訂上演のために、序曲第2番を改作したものです。初演は1806年3月29日にアン・デア・ウィーン劇場で、イグナーツ・フォン・ザイフリートの指揮によって行われました。

概要

この序曲は、『フィデリオ』のために書かれた4つの序曲のうちの一つです。他の3曲（第1番、フィデリオ序曲、第4番）と比較して、単独で演奏される機会が最も多いことで知られています。また、グスタフ・マーラーの習慣に倣い、『フィデリオ』の上演時に、第2幕第2場の前にこの序曲を挿入することがあります。

楽器編成

フルート2
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
ホルン4
トランペット2
トロンボーン3
ティンパニ
弦五部
舞台裏トランペット1

構成

ハ長調で、序奏を持つソナタ形式で構成されています。演奏時間は約13分です。

序奏：アダージョ、3/4拍子

G音の強奏で始まり、様々な調をさまよいます。途中、木管楽器によって変イ長調の旋律が現れます。この旋律は、オペラ第2幕冒頭で歌われるフロレスタンのアリア「人生の春の日に」の一節です。

主部：アレグロ、2/2拍子

弦楽器がシンコペーションを用いた第一主題を奏でて始まります。ホルンに導かれる第二主題はホ長調で始まりますが、こちらも調的に不安定です。展開部では劇的な展開を見せ、途中、トランペットのファンファーレが印象的に響きます。再現部では、フルートのソロで第一主題が再現されます。このフルートのソロは演奏が非常に難しいことで知られています。その後、提示部通りに再現が続き、第二主題の動機を使いながら静まっていきます。最後に、弦楽器のパッセージがプレストのコーダを導き、熱狂的に終結します。

楽曲の特徴

劇的な展開
美しい旋律
演奏技巧を要するフルートソロ
オペラの内容を想起させる構成

関連事項

レオノーレ序曲第1番

外部リンク

Leonora Overture No.3, Op.72bの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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