レオン・ワルラス

マリ・エスプリ・レオン・ワルラス

生涯

ワルラスは1834年、フランスのエヴルーで生まれました。彼はエコール・ポリテクニークを目指して受験しましたが、最初は受験条件を満たせず、翌年には数学の試験に不合格となり、入学できませんでした。代わりにパリ国立高等鉱業学校に進学しましたが、その実学重視のカリキュラムに魅力を感じず、文学に傾倒し、サンシモン主義者たちとの交流を深めて二年間留年し、その後中退してしまいます。

その後、父オーギュスト・ワルラスの説得により経済学を学ぶことに決め、経済雑誌の記者や鉄道会社の事務員として働きました。後にレオン・セイと協同で割引銀行を設立したものの、借り入れの過剰により事業は失敗、その後、管財人の銀行での雇用を経て、ローザンヌでの租税に関する論文コンクールに参加し、4位に入賞しました。この経験が彼の研究への道を開く重要な契機となりました。

36歳の時、ルショネーに誘われて、スイスのローザンヌ・アカデミー（現在のローザンヌ大学）での経済学教授職につくための試験に応募しました。彼は当初の反対を乗り越え、教授に任命されました。ワルラスの理論は数学的手法を活用していたため、当時は理解されにくく、その価値が認知されるまでには時間がかかりました。しかし、数年経った後、彼の業績は次第に評価されるようになり、死の直前には彼の研究活動50周年が祝われるほどでした。1910年に彼はスイスのモントレー近くで亡くなりました。

思想と影響

ワルラスの経済思想の形成には、父オーギュスト・ワルラスの影響が大きくありました。父は法学者でありましたが、価値論に関する不満から経済学に転向しました。父の影響で土地国有化に関する考えを持ち続けたレオンは、資本の蓄積や人口の増加に伴い、土地の価値が上昇する中、土地の収益が地主に独占される社会的不公正を問題視しました。

また、オーギュスト学派の友人であるクールノーによる数学の導入が、レオン・ワルラスの経済学に大きな影響を与えました。彼の作品では、数学的手法を使って市場の研究を行い、生産量と価格の関係をモデル化しました。特にワルラスは、自由競争の下で全ての市場が均衡を持つとする一般均衡理論の基礎を築き、他の経済学者たちにその理論を引き継がせました。

一般均衡理論

『純粋経済学要論』はワルラスの最大の著作として知られ、1874年に上巻、1877年に下巻が出版されました。この中で彼は、一般均衡理論の確立を果たし、異なる市場要因がどのように相互作用して均衡を形成するのかを示しました。完全競争の概念によって、理論経済学の基盤を築き、それに基づいて社会的富の向上に寄与するための応用経済学や社会経済学の重要性も強調しました。

ワルラスの理論は、ローザンヌ学派を通じて広まり、後の経済学者たちにも大きな影響を及ぼしました。彼の一般均衡理論は、ジョン・メイナード・ケインズにより批判されましたが、現代の経済学においてもその重要性は再評価されています。ワルラスは経済学分野における数学的な試みを行う先駆者の一人であり、彼の思想は今日の経済学の多くの側面に根付いています。

著作

ワルラスの著作は多様で、『純粋経済学要論』の他にも、税制に関する理論や、経済的公正についての考察を含む多くの作品を残しています。彼の研究は、数学的な枠組みを通じて経済学の理解を深め、今なお多くの学者にとっての基盤となっているのです。

もう一度検索