レオ12世 (ローマ教皇)

レオ12世の生涯と教皇としての業績

レオ12世（本名：アンニーバレ・セルマッテイ・デッラ・ジェンガ）は、1760年8月22日にイタリアの貴族ジェンガ家に生まれました。彼の出生地については諸説ありますが、一般的にはジェンガまたはスポレートであると考えられています。1783年に司祭に叙階された後、教皇ピウス6世のもとで務め、外交官としてのキャリアを築いていきました。特に、ティルスの名義司教としての任務をスタートに、ケルンやパリの教皇使節を歴任し、ナポレオンや各国の宮廷との交渉に力を注ぎました。

1820年、ピウス7世の推薦により枢機卿に昇進し、1823年のコンクラーヴェでは63歳で教皇に選出されました。この選出には、当時フランスの影響下にあった枢機卿たちからの強い抵抗があったとされています。

教皇としてのレオ12世の在任中は、特にエルコール・コンサルヴィ枢機卿を側近として、多くの外交政策を推進しました。彼は非カトリックの国々との友好関係を築くことに成功し、教皇領の国際的な地位を向上させたものの、同時に教皇領内部の統治においては、強権政治を行いました。具体的には、住民に対する厳しい監視システムを導入し、ユダヤ人をゲットーに押し込める政策を実施しました。

これらの政策により、教皇領の経済は停滞し、民衆の信頼を失っていきました。また、彼はカルボナリやフリーメイソンといった秘密結社を強く非難しており、そうした集団の活動を抑え込もうとしましたが、これがさらなる反感を招く結果となりました。

1829年2月10日に亡くなったレオ12世の死は、教皇領の住民にとって大きな出来事でした。彼の専制的な統治に対して恨みを抱いていた人々は、故人の死をあからさまに喜んだとも言われています。これには、彼の政策に対する不満や、経済的困窮からの解放の期待が反映されているのでしょう。レオ12世の教皇としての在任期間は、物議を醸し出し、教皇庁の歴史においても重要な一ページを刻みました。

彼の外交的手腕は認められつつも、民心を損ねた専制政治や社会的政策の失敗が、結果として彼の評価を大きく左右する要因となりました。歴史の中でレオ12世は、外交官としての資質と専制的な改革者としての二面性を持つ教皇として記憶されることになりました。

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