レグネンセス

レグネンセス (Regnenses) についての概要

レグネンセスは、古代のブリテン島南部に存在したケルト系王国であり、後にローマ帝国の属州ブリタンニアのキウィタス（civitas）の一つとなりました。この王国は、時にはレグニ（Regni）やレギニ（Regini）とも呼ばれ、首都はノウィオマグス・レギノルム（Noviomagus Reginorum）でした。この場所は、現代のウェスト・サセックス州のチチェスターに当たります。

歴史的背景

レグネンセスの領土や首都は、ローマ帝国のブリタンニア征服以前にはアトレバテス族（Atrebates）の領域に含まれていた可能性があります。さらには、鉄器時代のブリテン島の様々な部族による部族連合の一部でもあったと考えられています。ローマの征服が進んでいく中で、レグネンセスはアトレバテス族に従属する国として名目上の独立を持っていました。この時期、レグネンセスの統治者はティベリウス・クラウディウス・コギドゥブヌス（Tiberius Claudius Cogidubnus）でした。

コギドゥブヌスの役割

ローマの歴史家タキトゥスは、コギドゥブヌスについて「いくつかのキウィタスがコギドゥブヌス王に献じられた」と記録しており、コギドゥブヌスのローマに対する忠誠心が示されています。また、チチェスターで発見された1世紀の碑文には、コギドゥブヌスのラテン語名が記されており、彼がローマ皇帝から市民権を授かったことが示唆されています。

コギドゥブヌスがこの地域での交渉や統治を行う上で重要な役割を果たしたことは間違いなく、彼の死後にはレグネンセスはローマの直接統治下に置かれました。

ローマの征服と影響

ローマ帝国の介入の理由は、アトレバテス族の王ウェリカが王位を追われたことにあり、コギドゥブヌスはウェリカの近親者であった可能性があります。ローマによる征服が進んだ結果、レグネンセスはアトレバテス、ベルガエ（Belgae）、そしてレグネンセスなど、幾つかのキウィタスに分割され、ローマによる支配が強化されました。

名前の起源と議論

レグネンセスという名称は「王国の民」を意味しますが、この名称がどのように付けられたかについては議論が続いています。多くの言語学者は、地元での呼称としてレグニ（Regni）やレギニ（Regini）が用いられていたと考えています。ジャクソンは、「部族名称の読み方の紹介の仕方には偏りがある」と述べ、この名称についての議論は非常に興味深いものです。また、プトレマイオスの文献に見られる部族名には、レグノイ（Regnoi）やリグノイ（Rignoi）などもあり、これらがブリテン島のレギニに対応していた可能性があります。

結論

レグネンセスは古代ブリテンにおける重要な政治的エンティティであり、ローマ帝国の歴史の中で特異な位置を占めていました。コギドゥブヌスの治世を通じて、ローマとの関係が築かれ、最終的にはその影響を受け入れる形で歴史が進展していきました。今日でも、レグネンセスの名前は古代ブリテンの歴史の中で光を放つ存在となっています。

参考文献

• - タキトゥス『アグリコラ (Agricola)』14
• - Bogaers, J. E. (1979). King Cogidubnus of Chichester: another reading of RIB 91. Britannia, 10, 243-254.
• - Jackson, K. (1970). Roman-British names in the Antonine itinerary. Britannia, 1, 68-82.
• - Rivet, A. L. F. & Smith, C. (1979). The Place-Names of Roman Britain.

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