レターメン

レターメン（The Lettermen）

レターメンは、1960年代を中心にアメリカのポピュラー音楽シーンで活躍した男性ヴォーカル・トリオです。彼らの最大の特色は、メンバーが密接に声を重ね合わせる「クローズ・ハーモニー」にあります。この美しいハーモニーを武器に、彼らは既存のヒット曲やスタンダードナンバーに独自の解釈を加え、数々のカバーバージョンを成功させました。

結成からメジャーデビュー

グループは1958年に結成され、その後メンバーの変遷を経て、1959年にワーナー・ブラザース・レコードからメジャーレコード会社でのキャリアをスタートさせました。彼らのサウンドが広く認知されるようになったのは、1961年にキャピトル・レコーズに移籍してからのことです。

キャピトルでの成功とハーモニーの確立

キャピトル移籍後、レターメンはクローズ・ハーモニーを前面に出した甘くロマンティックなスタイルを確立します。フレッド・アステアの「今宵の君は（The Way You Look Tonight）」のカバーは全米シングルチャートで13位に、ドリス・デイが歌った「恋に落ちた時（When I Fall in Love）」のカバーは同チャートで7位を記録するなど、往年の名曲を彼らならではの解釈で蘇らせ、大きな成功を収めました。これらのヒットにより、彼らはハーモニーグループとしての確固たる地位を築き上げます。

1960年代後半の活躍と日本での人気

1960年代半ばから後半にかけて、彼らはキャリアの黄金期を迎えます。1965年には映画『避暑地の出来事』のテーマ曲「夏の日の恋（Theme From A Summer Place）」のカバーが全米16位のヒットとなりました。このシングルのB面に収録されていたブライアン・ハイランドのカバー「涙のくちづけ（Sealed with a Kiss）」は、本国アメリカでは地味な存在でしたが、日本では1969年にシングルA面としてリリースされるとオリコンチャートで9位にランクインする大ヒットとなり、彼らの代表曲の一つとして広く認識されるようになりました。

さらに、1967年にはリトル・アンソニー＆ジ・インペリアルズの「Goin' Out Of My Head」とフランキー・ヴァリが歌った「Can't Take My Eyes Off You（君の瞳に恋してる）」をメドレーにした「君に夢中／君の瞳に恋してる（愛するあなたに）」を発表。この意欲的なカバーメドレーは全米7位を記録し、彼らの音楽的な幅広さを示しました。

レターメンは、アメリカでの成功に加え、日本でも特に高い人気を誇りました。「涙のくちづけ」の他、ボビー・ヴィントンの「ミスター・ロンリー」やジョン・レノンの「ラヴ」のカバーも、日本ではオリジナルを凌ぐほどのヒットとなり、彼らの美しいハーモニーは日本の多くのリスナーの心を捉えました。

後期の活動と殿堂入り

1970年代以降も、レターメンはメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続け、コンスタントに作品を発表しました。長年にわたる音楽活動とそのポピュラー音楽史への貢献は高く評価されており、2001年には、オリジナルメンバーのトニー・ブターラが共同設立したボーカルグループの殿堂（Vocal Group Hall of Fame）に選出されました。さらに、2012年にはヒットパレードの殿堂（Hit Parade Hall of Fame）入りを果たし、その功績が改めて称えられました。

レターメンは、時代を超えて聴き継がれる美しいハーモニーと、優れた楽曲解釈によって、カバー文化の一つの頂点を築いたグループとして、今なお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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