レッスルマニアXX

レッスルマニアXX：プロレス史に刻まれた伝説の一夜

2004年3月14日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン。WWEの年間最大イベント、レッスルマニアが20周年を迎え、華々しく開催されました。このレッスルマニアXXは、シリーズ最初の大会と10周年記念大会が開催された歴史的な会場での開催ということもあり、特別な意味を持っていました。

世界16ヶ国、全米48州から集まった熱狂的なファン、そして世界90ヶ国へのPPV放送。その盛況ぶりは、ニューヨーク経済への推定13万5千ドルもの経済効果、96もの雇用創出という数字からも明らかです。

歴史的トリプルスレットマッチとベノワの戴冠

大会のメインイベントを飾ったのは、ショーン・マイケルズ、トリプルH、そしてクリス・ベノワによるトリプルスレットマッチ。世界ヘビー級王座を懸けたこの試合は、プロレスリング・イラストレーテッド誌によって2004年の年間最高試合に選出されるほどの高い評価を得ました。

この試合は、プロレス界全体に大きな影響を与えました。トリプルスレット形式の試合は、レッスルマニア以降、WWEの主要なイベントで頻繁に採用されるようになり、他の団体でも王座決定戦に導入されるなど、その影響は多大なものとなりました。

そして、この試合を制し、WWE最高峰の栄光を掴んだのはクリス・ベノワでした。初めてWWE王座ベルトを手にしたベノワは、感極まって涙し、リング上では紙吹雪が舞い上がりました。その時、WWE王者エディ・ゲレロがリングに現れ、ベノワを祝福。両者の抱擁は、会場全体を感動に包み込みました。ベテランであるベノワとゲレロにとって、レッスルマニアでのメインイベント出場は初めてのことでした。しかし、皮肉にも、この瞬間が彼らのレッスルマニアにおける最後のメインイベント出場となってしまったのです。後に両選手は急逝しており、このレッスルマニアでの活躍が、なお一層大きな意味を持つこととなりました。

レスラーとゴールドバーグの去就問題

大会を彩るもう一つの大きな出来事は、ビル・ゴールドバーグとブロック・レスナーの対戦でした。当時WWEを代表する2人の怪物同士の初対決、さらにレフェリーにはWWFアティテュード時代の象徴であるスティーブ・オースチンが務めるなど、この試合への期待は、2大世界王座戦やエボリューション対ロックンソッコ・コネクション、アンダーテイカーの復活を凌駕するほど高まっていました。

しかし、大会直前、インターネット上に「ゴールドバーグがレッスルマニア後WWEを離脱」「レスナーがWWEを退団し、NFLに挑戦」といった情報が流出し、世界中のファンがその動向に注目していました。WWEはこの情報を公式には否定しませんでしたが、会場の雰囲気は次第に異様なものとなっていきました。

試合開始当初は、ベビーフェイスのゴールドバーグとオースチンに声援、ヒールであるレスナーにはブーイングが送られていましたが、試合が進むにつれて、それは試合自体への拒絶を示す大ブーイングへと変わっていきました。

実況を担当したジム・ロスは、言葉を濁しながらもゴールドバーグとレスナーの去就について言及。試合後には、オースチンが2人に立て続けにスタナーを浴びせ、騒然とした会場の空気を落ち着かせようとしたのです。

その他の試合結果

大会では、メインイベント以外にも多くの注目カードが組まれていました。

WWE US王座戦: ジョン・シナがビッグ・ショーを破り勝利
世界タッグ王座戦 (フェイタル4ウェイマッチ): ブッカーT & ロブ・ヴァン・ダムが防衛成功
クリスチャン vs クリス・ジェリコ: クリスチャンが勝利
ハンディキャップマッチ: エボリューションがロックンソッコ・コネクションを撃破
プレイボーイ・イブニング・ガウン・マッチ: セーブル & トリー・ウィルソンが勝利
WWEクルーザー級王座戦 (クルーザーウェイト・オープンマッチ): チャボ・ゲレロが防衛成功
ゴールドバーグ vs ブロック・レスナー (インタープロモーショナルマッチ): ゴールドバーグが勝利
WWEタッグ王座戦 (フェイタル4ウェイマッチ): スコッティ2ホッティ & リキシが防衛成功
WWE女子王座戦 (ヘアー vs. タイトルマッチ): ビクトリアが防衛成功
WWE王座戦: エディ・ゲレロがカート・アングルを破り防衛成功
* ジ・アンダーテイカー vs ケイン (インタープロモーショナルマッチ): アンダーテイカーが勝利

レッスルマニアXXは、歴史に残る名勝負、そして様々なドラマが凝縮された、まさに伝説の一夜となったのです。

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