レディ・ステディ・フー

ザ・フーの初期を彩るEP『レディ・ステディ・フー』

『レディ・ステディ・フー』（Ready Steady Who）は、1960年代にイギリスを席巻したロックバンド、ザ・フーが1966年にリリースした5曲入りEPです。この作品は、彼らの初期の音楽性を色濃く反映しており、オリジナル曲とカバー曲が織り交ぜられたバラエティ豊かな内容となっています。

リリースまでの経緯

ザ・フーは1965年12月にデビューアルバム『マイ・ジェネレーション』を発表後、プロデューサーとの契約変更やレコード会社の移籍といった変化を経験します。そして、1966年3月には移籍後初のシングル『恋のピンチ・ヒッター』をリリースしました。

同年10月には、音楽番組『レディ・ステディ・ゴー』の企画で、観客を迎えてのライブショーを敢行。このライブの模様は録画され、一部が番組内で放送されました。当初、このライブ音源をサウンドトラックとしてリリースする予定でしたが、法的な問題で実現には至りませんでした。その代替として、ライブで演奏された楽曲のスタジオ録音などを収録したのが、このEP『レディ・ステディ・フー』です。

楽曲構成

EPはA面にピート・タウンゼント作のオリジナル曲、B面にカバー曲という構成になっています。オリジナル曲では、タウンゼントのソングライターとしての才能が光り、カバー曲では、彼らの音楽的なルーツや幅広い音楽への関心が伺えます。

オリジナル曲

ディスガイジズ（Disguises）: ピート・タウンゼントの作詞作曲。
サークルズ（Circles）: この楽曲には2つのバージョンが存在します。シェル・タルミーのプロデュースによる初期の録音と、ザ・フー自身がプロデュースした録音です。EPに収録されているのは後者で、シングル『恋のピンチ・ヒッター』のB面にも収録されました。

カバー曲

バットマン（Batman）: テレビドラマ『バットマン』のテーマ曲のカバー。実際はニール・ヘフティの作品ですが、EPでは別の作者名がクレジットされています。
バケット・T（Bucket T）: キース・ムーンがリードボーカルを担当。サーフロックグループ、ロニー&ザ・デイトナスの楽曲のカバーです。
バーバラ・アン（Barbara Ann）: キース・ムーンがリードボーカルを担当。ドゥーワップグループ、リージェンツの楽曲のカバーで、後にビーチ・ボーイズもカバーし大ヒットしました。

参加ミュージシャン

ロジャー・ダルトリー：リードボーカル（B-2、B-3を除く）
ピート・タウンゼント：ギター、キーボード、ボーカル
ジョン・エントウィッスル：ベースギター、金管楽器、ボーカル
* キース・ムーン：ドラムス、リードボーカル（B-2、B-3）

『レディ・ステディ・フー』は、ザ・フーの初期の勢いと実験精神が感じられる作品であり、彼らの音楽的な多様性を垣間見ることができる貴重なEPと言えるでしょう。

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